ふれあいSUN-IN

ふれあいSUN-INの概要

ふれあいSUN-IN（ふれあいさんいん）は、1986年から2008年にかけて日本国有鉄道（国鉄）および西日本旅客鉄道（JR西日本）が運行していた気動車の一種で、一般に「ジョイフルトレイン」と呼ばれるカテゴリーに位置づけられます。この車両は、主に山陰地区での観光やレクリエーション目的に特化したお座敷列車として設計されました。

改造の背景

この車両の開発は1983年から始まりました。米子鉄道管理局が手がけたこのプロジェクトは、地域の非電化区間が多い事情から、機動的な運用のためにキハ58系気動車をもとにした3両編成として生まれました。その設計は、和室を主とする一方で、若い世代の利用者にも魅力を感じてもらえるよう洋風和室や洋間も設備しました。また、愛称の「ふれあいSUN-IN」は、一般の公募によって選ばれ、「降り注ぐ太陽」と「山陰」の合成語として名付けられています。

編成構成

ふれあいSUN-INは、次の3両からなります。

• - 1号車 キロ59 505（旧：キハ58 1123）
• - 2号車 キロ29 503（旧：キハ28 3006）
• - 3号車 キロ59 506（旧：キハ58 1126）

各車両は定員36名であり、グリーン車扱いとして運用されていました。

車体の特徴

この車両の車体は、基本的にはクリーム色で、側面には「SUN IN」のロゴがデザインされています。色使いは、山側が宍道湖に沈む夕日をイメージした赤、海側が日本海をイメージした青となっています。車両の前面は、特に大きな改造は行われていないものの、先頭車両には特製のヘッドサインが取り付けられており、デザイン性が感じられます。

車体側面には出入口が一つだけ設けられており、これは後方に位置しています。特に2号車は、中央部分の窓が拡大され、景観を楽しむための連続窓が採用されましたが、晩年は元の状態に戻されました。

車内の配置

車内は、1号車・3号車と2号車で設計が大きく異なります。

1号車は、畳敷きの和室を中心に構成されています。通路側にはスライドヒンジ式の畳が設置されており、座敷側には防振ゴムが取り入れられて、揺れを軽減しています。また、簡易的な仕切りで洋間と和室が分けられています。

2号車は洋風和室のスタイルが特徴です。便所・洗面所を撤去して客室を拡張し、中央部分を洋間にしています。ここにもカラオケ機器やモニターテレビが備えられ、エンターテインメント機能が高められています。

3号車は1号車と基本構造は同様ですが、室内の通路の配置が逆転しています。

機器および運用

台車と走行機器は、ほとんど変更がなく、従来のモデルを維持しています。この車両は、1986年のデビュー後、米子機関区に配置され、営業運行を開始しました。国鉄の分割民営化後もJR西日本に引き継がれ、その後も様々な運用を経て2008年には運行が終了しました。

ここで紹介したふれあいSUN-INは、単なる交通手段を超え、地域の観光資源の一部として、多くの人々に親しまれてきました。その記憶は、鉄道ファンや地域住民にとって特別なものとして心に残り続けていることでしょう。

もう一度検索