へき地等級

へき地等級（へきちとうきゅう）

へき地等級とは、へき地にある公立学校、すなわち「へき地学校」に付与される等級制度です。この等級は、そこに勤務する教職員に支給される「へき地手当」の金額を決定するための重要な基準となります。へき地教育の振興を目的とした「へき地教育振興法」およびその関連法令である「へき地教育振興法施行規則」に基づき、各都道府県が独自の条例を定めて運用しています。

等級の種類

へき地等級には、学校が所在する地域のへき地度に応じて、全部で6つの段階があります。具体的には、一級から五級までの5段階の「へき地学校」と、それに準ずる「準へき地学校」です。数字が大きい等級ほど、へき地の度合いがより強いことを示しています。

等級の算定基準

へき地学校の指定や等級の付与は、へき地教育振興法第5条の2に基づき、文部科学省令で定められた基準を参考として、各都道府県が条例で定めます。その基準となるのが、へき地の度合いを点数化した合計点数です。

へき地教育振興法施行規則第3条では、へき地学校を指定し等級を付与するための基準として、へき地の程度を点数で評価する仕組みを定めています。基準となる点数に調整点を加減して合計点を算出し、その点数に応じて学校の等級を決定します。合計点数が一級に準ずる学校は、準へき地学校として指定されます。

点数の算定にあたっては、学校から特定の施設までの距離など、地理的な条件が主に考慮されます。規則別表第一では、例えば以下のような要素が点数化の際に考慮されます。

最寄りの駅または停留所までの距離
病院までの距離
高校までの距離
郵便局までの距離
市町村教育委員会までの距離
スーパーマーケットまでの距離
市の中心地までの距離

特に離島にある学校については、規則別表第二に基づき、本土からの定期航行の回数や海上距離による加点があるほか、各種施設が島外にある場合にも加点が加わります。このため、他の地域にある学校と比較して、離島の学校は合計点数が高くなりやすく、へき地度が高いと判断される傾向があります。

へき地手当などへの活用

算定されたへき地等級は、教職員に支給されるへき地手当の金額を決定するために利用されます。手当額は各都道府県の条例で定められており、地域によって異なります。例えば、2018年4月時点の北海道における加算率は以下のとおりでした。

準へき地学校：本俸の4％
へき地学校一級：本俸の8％
へき地学校二級：本俸の12％
へき地学校三級：本俸の16％
へき地学校四級：本俸の20％
* へき地学校五級：本俸の25％

このように、等級が高いほど本俸に対する加算率が高くなります。

また、へき地等級は、へき地児童生徒を対象とした援助費等の補助金のうち、特にへき地度の高い学校の修学旅行費（高度へき地修学旅行費）の対象基準として活用されることもあります。一部の都道府県では、へき地学校やその等級に関する情報をウェブサイトなどで公開しています。

類似の制度

へき地手当と同様に、生活環境が著しく不便な地域で働く職員に対する手当として、国や各自治体では「特地勤務手当」という制度を設けています。これは、国家公務員や一般の地方公務員を対象としたもので、勤務する官署や事業所の所在地が離島など特定の地域である場合に支給されます。国の場合、勤務地を1級地から6級地の6段階に区分して手当額を定めています。

へき地等級制度は、へき地における教育環境を維持・向上させるために、そこに勤務する教職員の処遇を考慮する上で重要な役割を果たしています。

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