ほうそうぶ2

『ほうそうぶ2』（ほうそうぶのじじょう）

『ほうそうぶ2』は、作家・宮沢周氏が執筆し、山×2氏がイラストを手がける日本のライトノベルシリーズです。集英社のスーパーダッシュ文庫より刊行されています。

物語の始まり

物語は、かつて名探偵として名を馳せた父親を持つ高校二年生、皇 沙門（すめらぎ さもん）を主人公に展開します。彼は父の後を継ぎ探偵を目指していますが、現役の高校生である彼のもとに舞い込む依頼など皆無に等しく、探偵としての実績はゼロのまま燻っていました。どうにかして探偵としての第一歩を踏み出したいと考えた沙門は、ある日、父親宛てに届いた一件の依頼書を無断で手に取ります。

その依頼の内容は、幕縁学園（まかべりがくえん）という学校で頻繁に目撃され、生徒や教師のスキャンダルをスクープしているという謎の人物、「兎レポーター」の正体を突き止めることでした。この依頼を千載一遇のチャンスと捉えた沙門は、早速調査を開始するため幕縁学園への潜入を決意します。

潜入と出会い

幕縁学園に潜入した沙門は、「兎レポーター」の容疑者と目される少女たちとの接点を持つため、学校の放送部に入部することを計画・実行します。しかし、彼を待ち受けていたのは、想像以上に個性的で一筋縄ではいかない面々でした。

主要登場人物たち

物語の中心となるのは、主人公の皇沙門と、彼が調査のために接触する幕縁学園の生徒たちです。

皇 沙門: 主人公。父親譲りの探偵資質を受け継ぎつつも、まだ経験が浅い高校生。探偵の傍らには魅力的な女性がいるべきだという持論を持ち、「イイ女センサー」なる独自の基準で女性を評価します。特に胸のサイズを重視する傾向があり、たとえ顔立ちが好みでも、その基準から外れるとアプローチを諦めてしまう一面も。

筮野 水藻（めどきの みなも）: 幕縁学園放送部の部長を務める少女。その美貌は目を見張るものがありますが、胸が非常に薄いため、沙門からは初対面で思わず男性かと疑われるほど。困っている人を見過ごせない面倒見の良い性格で、何事にも積極的に取り組みます。兎レポーターと体格が似ていることや、放送部部長という立場から、一部の生徒からは正体ではないかと疑いの目を向けられています。沙門の軽い言動にはしばしば注意を与えますが、彼の純粋さや真面目な部分は認めています。一方で、機械全般が苦手な極度の機械音痴であり、口癖は「最悪」。

星群 舞花（ほしむら まいはな）: 幕縁学園の生徒会長。才色兼備、財力も申し分ない完璧なお嬢様として知られます。しかし、貧困から一代で財を成した父親の影響もあり、金銭感覚は意外と庶民的。幼い頃から妹たちにお菓子を作っていた経験から料理を得意とし、自室を改装してキッチンにするほどの情熱を持っています。体形的に兎レポーターの容疑者の一人として挙げられています。男性との交際経験がなく免疫が極めて低いため、初対面で冗談交じりに言い寄ってきた沙門に対しても、真剣な交際を考えてしまうほど純粋な一面があります。

城ヶ根 手紙（しろがね てがみ）: 幕縁学園発明部に所属し、水藻の友人。天才的な発明家としてその名を知られていますが、等身大の水藻型ロボット制作に情熱を傾けるというユニークな一面も持ち合わせています。水藻が機械音痴であるため、放送部員ではありませんが、彼女に代わって放送機材の操作を担当することがあります。デジタルカメラを一瞬で分解し、元通りに組み直せる特技を持ち、水藻に褒められてもそれを「発明ではなく特技」と謙遜します。特徴的な語尾に「～なの」をつけて話します。

脇谷 久代（わきや ひさよ）: 演劇部と放送部を兼任している生徒。極端に長い前髪で顔のほとんどが隠れており、口元しか見えません。会話はすべてひらがなのように聞こえ、抑揚のない平坦な話し方をします。その存在感が驚くほど希薄で、同じ部屋にいても気づかれないどころか、目の前にいてもどこか非現実的な雰囲気を漂わせています。

その他の関係者

他にも、沙門の父親が作成した容疑者リストに名前があるものの、その実態が掴めない龍神園 緋小夜（りゅうじんぞの ひさよ）という謎めいた人物や、沙門のクラスメイトで、見た目は爽やかながら内容は非常に際どい江口 士堂（えぐち しどう）（通称「エロ士堂」）が登場します。また、生徒会長の舞花を深く尊敬し、彼女のために尽力する副会長の石衣 火弓（いしい かゆみ）も、舞花にとって不利益になると判断した相手には厳しい態度を見せる人物として描かれています。

作品の魅力

『ほうそうぶ2』は、父の背中を追う主人公が、学園を舞台に巻き起こる謎に挑む中で、個性的な魅力あふれる少女たちと交流を深めていくコメディタッチのミステリー作品です。一癖も二癖もあるキャラクターたちのやり取りや、彼らが織りなす賑やかな学園生活が魅力となっています。

既刊

ほうそうぶ2（ISBN 978-4-08-630592-1、2011年1月25日）
* ほうそうぶ2 2 生徒会長の××はまったくもってけしからん（ISBN 978-4-08-630614-0、2011年5月25日）

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