ほるぷ平和漫画シリーズ

ほるぷ平和漫画シリーズ

ほるぷ平和漫画シリーズは、昭和50年代から60年代にかけて、ほるぷ出版から刊行された全27巻の漫画アンソロジーです。このシリーズは、反戦や平和のテーマを扱った作品を集めたもので、「世界で初めての反戦・平和のマンガシリーズ」として位置づけられています。既存の漫画作品を素材としている点が特徴であり、描き下ろしの作品ではありません。

シリーズの特徴

シリーズの各巻には戦争や平和にまつわる様々なストーリーが収められており、当時の社会情勢や戦争の悲惨さがリアルに描かれています。登場する作家たちは、それぞれの視点から物語を紡ぎ、作品ごとに異なるアプローチで反戦のメッセージを発信しています。全27巻にわたり、多様な作品が読者に届けられました。

主要な巻タイトルと内容

例えば、1983年7月1日に刊行された第1巻「禁じられた戦史」では、千田夏光の原作に青柳裕介が脚色・作画を行った「自爆」や「命の泉」が収められています。続く第2巻「人間の条件(1)」では、五味川純平の原作を立花誠太郎が作画し、人間の生と死をテーマにした深いストーリーが展開されます。 第3巻「疎開っ子数え唄」や第4巻「ある惑星の悲劇」にも、戦争の辛さや人々の思いが描かれています。

シリーズは徐々に著名な作家の作品を人物視点から描いたものや、短編形式で構成されたものからも構成されています。水木しげるの「敗走記」や「幽霊艦長」といった作品や、横山孝雄の「旅たて荒野」など、各巻には戦争の実体験やフィクションが交錯した多様な物語が収録されています。

読者への影響

このシリーズは、単なるエンターテインメントだけでなく、読者に戦争や平和について考えるきっかけを与える重要な役割を果たしました。作品の中で描かれるさまざまな人間ドラマや生活の苦しさは、多くの人々の心に深く残ります。これにより、読者は戦争の悲惨さと平和の大切さについて真剣に感じることができ、反戦というテーマについて考えさせられます。

関連書籍と影響

また、『ほるぷ平和漫画シリーズ』と同じ日に、石子順による「漫画にみる戦争と平和90年」が発売され、戦争を題材にした150作以上の漫画を紹介するなど、漫画と戦争、平和に関する資料としての役割も果たしました。シリーズ全体を通じて、歴史的な背景や人間ドラマに触れることができるため、現在でも多くの読者に支持され続けています。

このように、ほるぷ平和漫画シリーズは、単なる漫画作品にとどまらず、戦争と平和に関する深いメッセージを届ける貴重な文化遺産であり、未来への教訓として大切にされるべき作品群なのです。

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