ぼくたちの映画シリーズ

ぼくたちの映画シリーズは、東映とフジテレビジョン映画部が共同で企画・制作した、ティーンおよびヤング層を対象とした劇場用映画シリーズです。フジテレビ系列でかつて放送され人気を博した「ボクたちのドラマシリーズ」が母体となり、そのコンセプトを発展させる形で主に1990年代後半に展開されました。

本シリーズの特徴は、毎年夏休みシーズンに公開され、複数の作品を同時に上映する併映形式が採用された点にあります。上映時間も比較的短く、中には60分程度の作品も含まれていました。主演には当時の若者文化を牽引していた人気アイドルや俳優が多数起用され、その出演者目当てに多くの観客が劇場に足を運びました。また、各作品の主題歌には、当時の音楽シーンで大きな支持を集めていたアーティストやタレントの楽曲が採用され、オリコンチャートを賑わせるヒット曲も多く、シリーズのプロモーションに大きく貢献しました。

撮影技術においても特徴的な試みが行われました。従来の劇場用映画制作ではフィルム撮影が主流でしたが、本シリーズではハイビジョンビデオカメラが用いられています。劇場公開に際しては、ビデオ信号をフィルムに変換する「キネコ」処理が施されましたが、本シリーズで採用されたキネコ技術は、当時の一般的な手法に比べて画像の粗さやノイズが目立たず、劇場スクリーン上でもテレビ放送や後に発売されたDVDソフトで見るような、クリアで鮮明な映像美を実現しました。全編ハイビジョンでの劇場用映画は、HD24Pといった高精細度デジタル撮影が本格的に普及する2000年代に入る以前はまだ非常に珍しく、本シリーズは比較的早い段階でデジタル撮影の利点を劇場公開に活かそうとした先駆的な事例の一つと言えます。

2001年には、ポニーキャニオンおよびキングレコードより、シリーズ各作品がDVDソフトとして発売されました。限定版としてDVD-BOXもリリースされ、ファンにとってコレクションの機会が提供されました。

主なシリーズ作品は以下の通りです。

1995年8月19日公開
『花より男子』：内田有紀ほか出演。神尾葉子による人気少女漫画の記念すべき初実写映像化作品です。主題歌であるTRFの「Overnight Sensation 〜時代はあなたに委ねてる〜」はその年の第37回日本レコード大賞を受賞し、映画のエンディングにはTRFメンバーも出演しました。
『白鳥麗子でございます!』：松雪泰子ほか出演。鈴木由美子の漫画が原作で、1993年に放送された同名テレビドラマの続編となる劇場版です。ドラマ版に引き続き松雪泰子が白鳥麗子を演じました。

1996年8月10日公開
『That's カンニング! 史上最大の作戦?|That's_カンニング!_史上最大の作戦?』：山口達也、安室奈美恵ほか出演。大学を舞台にしたコメディ映画で、当時絶大な人気を誇っていた二人の主演が話題となりました。
『友子の場合』：ともさかりえほか出演。思春期の少女の日常を等身大に描いた青春ドラマです。

1997年8月9日公開
『デボラがライバル』：吉川ひなの、篠原ともえほか出演。
* 『ときめきメモリアル』：榎本加奈子、中山エミリ、矢田亜希子、山口紗弥加、吹石一恵ほか出演。同名人気恋愛シミュレーションゲームを原作としていますが、映画独自のオリジナルストーリーが展開されました。

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