ぼくのおじさん

ぼくのおじさん

『ぼくのおじさん』は、北杜夫による児童文学作品であり、ユーモラスな日常を描いた小説、テレビドラマ、映画作品です。

概要

物語は、小学6年生の「ぼく」こと雪男の視点から、父の弟である「おじさん」との生活が描かれています。おじさんは、30歳を過ぎても独身で、雪男の家に居候している大学の臨時講師です。しかし、その生活態度はぐうたらでだらしなく、雪男は自慢できるところが何もないおじさんに不満を抱きながらも、どこか憎めない存在として捉えています。

本作は、旺文社の雑誌『中二時代』で1962年から1963年にかけて連載され、1972年に旺文社ジュニア図書館から単行本として発売されました。その後、1981年に新潮文庫から発売されましたが、一時絶版となりました。2016年の映画化を機に、新潮文庫から記念復刊されています。

表紙と挿絵は和田誠が手掛けており、発売当時の挿絵はカラーで収録されています。作者の北杜夫によれば、単行本化が遅れたのは、本作のエピソードの一部を、後に執筆された長編ユーモア小説『高みの見物』に流用したためでした。しかし、少年向けのシリーズである「旺文社ジュニア図書館」から刊行されることになり、大人向けの『高みの見物』とは読者層が異なることから、単行本化に踏み切ったとのことです。

北杜夫は、本作について「中学生雑誌に書きなぐったもので、恥ずかしいから本にしなかった」と語っていますが、後に「高みの見物とはまた違ったおもむきがあって、残しておいてもよいような気もする」とも述べています。物語の背景には、北杜夫自身が兄の家族と同居していた独身時代の経験や、少年時代に可愛がってもらった叔父・斎藤米国の思い出が投影されています。

1974年にはNHKの少年ドラマシリーズで実写ドラマ化され、2016年には山下敦弘監督、松田龍平主演で映画化されました。

あらすじ

雪男のおじさんは、30歳を過ぎても独身で、兄の家に居候しています。大学の臨時講師という肩書きを持ちながらも、ぐうたらでだらしなく、暇を持て余しています。宿題を見てくれず、動物園にも連れていってくれず、スポーツもできず、お小遣いをねだるおじさんに、雪男は不満を募らせます。おまけに、おじさんはいたずらが大好きで、家族を巻き込んで騒動を起こします。

見かねたおばさんが無理やりお見合いをさせますが、「趣味はモクギョです」などと奇妙な発言をして、失敗に終わります。そんなおじさんは、ある日、海外旅行を決意します。その手段は、懸賞で海外旅行を当てるというものでした。おじさんは、懸賞つきのウイスキーやガム、コーラなどを大量に買い込み、家族にも協力を強要します。雪男が、おじさんの珍妙な行動を作文に書いて学習雑誌の懸賞に応募したところ、なんと二等のハワイ旅行が当たります。図々しいおじさんは、雑誌の編集者の代わりに、保護者としてハワイ旅行に同行することになります。

登場人物

雪男（ぼく）: 本作の語り手で主人公の小学6年生。
ケイ子: 雪男の妹。
おじさん: 雪男の父の弟。大学の臨時講師。
おとうさん: 雪男の父。
おかあさん: 雪男の母。
おばさん: 雪男の母の姉。
* ヘンリー・佐藤: 雪男がハワイで出会った少年。

映画

2016年に公開された映画版では、時代設定が現代に変更され、おじさんのキャラクターやストーリー展開に新たな要素が加えられています。松田龍平が演じるおじさんと、大西利空が演じる雪男の掛け合いが、ユーモラスに描かれています。

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