まさし君

まさし君

『まさし君』は、植田まさしによる日本の4コマ漫画で、「週刊漫画TIMES」にて1980年から1985年にかけて連載されました。主人公の貧乏大学生「上田まさし」が、学生生活や様々なアルバイト先で巻き起こす騒動を描いたコメディ作品です。1980年代の流行や社会情勢を反映した時事ネタが多数盛り込まれており、当時の世相を垣間見ることができます。

概要

物語は、東西大学に通う20歳の上田まさしを中心に展開します。彼は「ひまわり荘」というアパートに住み、貧乏な生活を送っています。そのため、工事現場、ウェイター、清掃員、映画のエキストラなど、様々なアルバイトに精を出す日々です。しかし、そのアルバイト先では必ずと言っていいほど騒動を引き起こし、周囲を巻き込んでしまいます。まさしは、その破天荒な行動から「アルバイト中毒」と揶揄されることもありますが、彼の行動は予測不可能で、読者を飽きさせません。

登場人物

上田まさし

本作の主人公。東西大学に通う20歳の貧乏大学生です。「ひまわり荘」というアパートに住んでおり、様々なアルバイトをしています。イタズラ好きで、その対象はアパートの住民、大学の教授、アルバイト先の人々と多岐にわたります。そのイタズラは時に常軌を逸しており、法に触れるケースも少なくありません。また、自称高所恐怖症でありながら、屋上の手すりの外側に立ったり、ロープ1本で窓の清掃をしたりするなど、矛盾した行動も目立ちます。お金の管理は上手な一方で、計算は苦手という一面も持ち合わせています。

まさしのイタズラの例

疲れて寝ている大木の顔に白い布をかけ、枕元に線香を立てて「死んだように眠っている」と言う。
高所恐怖症の友人を目隠しして手すりの外側に立たせる。
よその家の風呂場に侵入して勝手に入浴する。
大木に用立ててくれと頼まれたお金を作るために、大木の部屋のものを全部売る。
拾った財布を来年まで取っておいてから警察に届ける。
海水浴場で他人のスイカを銛で突いて盗んでくる。
口うるさい依頼主を貨物コンテナに閉じ込め、青森駅まで送る。
買い物客に帽子のサイズを聞かれ、「知能指数かと思った」と発言する。
タクシーで偽の空車札を立て、「乗車拒否」に見せかける。

まさしの長所と短所

まさしは手先が器用で、刺繍を売ったり、長椅子や本棚を自分で作ったりすることができます。しかし、作った長椅子は縦に並んで座る形状だったため、不評でした。また、他人が作ったバイクのプラモデルを分解し、元の形に組み直すこともできます。お金の管理は比較的上手で、家賃の滞納は少ないですが、計算は苦手なようです。

一方で、ひねくれ者で、他人から叱られると逆恨みしてとんでもない行動に出ることがあります。例えば、冷凍庫を開けっ放しにしたことを注意された際には、冷凍庫の中に濡れた布巾を入れて開けられないようにしました。アベックには異常なほど嫉妬深く、フェミニストな一面もあります。また、極度のお調子者で、褒められると調子に乗って失敗することも多いです。

まさしの嗜好

まさしはタバコを吸わず、酒も非常に弱いです。酔うと裸で踊り、周囲を不快にさせます。また、喫茶店で女優が吸ったタバコの吸い殻を持ち帰って吸ってみたり、歯医者で美人が使った器具を使わせてもらったりと、むっつりスケベな一面も持っています。とろろ芋で和えた甘納豆をご飯にかけるなど、変わった食の好みも持っています。

大木金吾

まさしの先輩で、東西大学の学生。まさしと同じく貧乏で、よくアルバイトをしています。3回留年しているため、頭はあまり良くないようです。まさしにイタズラを仕掛けられることが多い一方、まさしに食事をたかったり、物を盗み食いしたりもします。ヘビースモーカーで、ギャンブル好きという一面も持っています。

鈴木（近藤、野口）

まさしの友人で、東西大学の学生。まさしと同じく貧乏で、アルバイトをしています。ひまわり荘に住んでおり、同じ大学の鈴村に想いを寄せています。登場初期は名前が一定していませんでした。

その他登場人物

鈴村：東西大学の学生で、鈴木が想いを寄せている美人。
大家夫婦：まさしたちが住むアパート「ひまわり荘」の大家。家賃の滞納に困っています。
里見教授：まさしたちのゼミの教授。まさし達のイタズラと頭の悪さに悩まされています。
その他の東西大学の教授たち：まさしたちのイタズラに手を焼いています。

舞台

ひまわり荘

まさし達が住むボロアパート。風呂なし、共同トイレという環境です。

東西大学

まさし達が通う三流大学。学生のレベルが低く、色々な意味で問題が多い大学です。

テレビドラマ版

1985年に「月曜ドラマランド」にてテレビドラマ化されました。風見しんごがまさし役を演じました。

単行本

まさし君：芳文社から全5巻で発売されました。
まさし君 Selection：芳文社から全4巻で発売されました。連載順ではなく、順不同で再収録されています。
特選まさし君：コンビニコミックスとして3冊発売。
まさし君DX：コンビニコミックスとして3冊発売。
特盛まさし君：コンビニコミックスとして3冊発売。作者の過去作品も同時収録されています。

関連項目

植田まさし
かりあげクン
のんき君
バイトテロ

『まさし君』は、1980年代の学生生活や社会風俗をコミカルに描き出した、植田まさしの代表作の一つです。まさしの破天荒な行動や、個性豊かな登場人物たちが織りなす騒動は、今もなお多くの読者を魅了し続けています。

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