植田まさし

植田まさしは、1947年5月27日生まれの日本の漫画家です。本名は植松正通。東京都世田谷区で生まれ、幼少期には香川県でも過ごしました。子供の頃から絵を描くのが好きでしたが、漫画にはあまり関心がなく、新聞の4コマ漫画を読む程度でした。

世田谷区立奥沢小学校、大田区立大森第七中学校を経て、都立田園調布高校に進学。同級生には宗教学者の植島啓司がいました。高校時代にはラグビー部に入部しましたが、激しい練習で体調を崩し入院。この経験から、「一人でできる仕事」を志すようになり、カメラマンを目指します。中央大学文学部哲学科に通いながら、東京写真専門学院の夜間部にも通い、学生運動の様子を撮影するなどしましたが、情熱を失い、カメラマンの道を断念しました。

大学卒業後は、兄が経営する学習塾を手伝っていました。ある時、兄に落書きを褒められたことがきっかけで、ギャグ漫画の持ち込み活動を始めます。1970年、芳文社に持ち込んだ『ああ！チョンボ』で「まち・あみち」名義でデビュー。その後、編集者の提案により、現在の「植田まさし」に改名しました。

1982年からは読売新聞朝刊で『コボちゃん』の連載を開始。この作品は長期連載となり、1992年から1994年にはテレビアニメ化もされました。2004年からは全国紙の4コマ漫画としては初めてカラー化され、2010年には連載1万回を達成しています。還暦を過ぎても精力的に活動を続け、数々の作品を発表し続けており、「4コマ漫画の巨匠」として知られています。

1982年に見合い結婚し、2人の娘と孫がいます。2022年には体調不良で一時的に休養しましたが、2023年には前立腺癌の治療を公表し、仕事に復帰しました。現在も日本[[漫画家協会]]の理事を務めています。

主な受賞歴
1982年：第28回文藝春秋漫画賞（『フリテンくん』『まさし君』『かりあげクン』）
1999年：第28回日本[[漫画家協会]]賞優秀賞（『コボちゃん』『おとぼけ課長』）
2016年：第45回日本[[漫画家協会]]賞カーツーン部門大賞（『かりあげクン』）

作風
植田まさしの作画の特徴として、つけペン代わりに万年筆を使用することが挙げられます。万年筆の先を分解して独自の改造を加え、直接インクにつけて描くスタイルです。また、カラーページ以外ではスクリーントーンをほとんど使用せず、服の模様やセリフまで全て手描きで描いています。

黒髪以外の女性キャラクターには髪の流れを表現した模様を描いたり、眼鏡の中に目が描かれていない人物や表情がほとんど変わらない人物は、少し変わったキャラクターであることが多いです。また、サラリーマンが主人公の作品では、メガネでヒゲを生やした課長やハゲ頭の社長など、ユニークなキャラクターが登場します。主要人物以外のキャラクターは、顔の輪郭と目を簡素化して描かれることが多いです。

セリフでは、「バーロー」「ンモー」「ニャロ」「ピエー」など、独特な言い回しの感情表現が用いられます。植田自身は、この独特な表現について「素人なるがゆえ」と語っています。

初期の『フリテンくん』や『のんき君』などには下ネタや毒のある作風が見られましたが、『コボちゃん』の連載開始以降は、徐々に毒が薄れ、近年ではファミリー向けのほのぼのとした作風が主流となっています。

作品のネタは、辞書や電話帳、通販カタログなどから幅広く探しています。思いついたネタはノートに書き溜め、自身の作品全体で活用しています。同じネタでも作品によって異なる表現をすることを心がけています。

主な作品リスト
『コボちゃん』
『かりあげクン』
『おとぼけ課長』
『のんき君』
『フリテンくん』
『おたかぜ君』
『らくてんパパ』
『まさし君』
『にこにこエガ夫』
『キップくん』
『すっから母さん』
『新フリテンくん』
『女刑事マキ』
『おとぼけ部長代理』

アニメ化・ドラマ化作品
『フリテンくん』（アニメ映画）
『のんき君』（テレビドラマ）
『まさし君』（テレビドラマ）
『キップくん』（テレビドラマ）
『かりあげクン』（テレビアニメ、テレビドラマ）
『コボちゃん』（テレビアニメ）
『すっから母さん』（テレビドラマ）

ゲームイラスト
『ファントム・キングダム』

その他
『メイドインアビス』（エンドカード）
『ラーメン大好き小泉さん公式アンソロジー』（裏表紙イラスト）
『おそ松さん公式アンソロジーコミック NEET GOING ON!』（コラボイラスト）
* 『美川べるのといかゴリラのまんが飯』（折詰イラスト）

これらの作品を通じて、植田まさしは日本の漫画界において、確固たる地位を築いています。その作品は、ユーモアと温かさに満ち、多くの人々に愛され続けています。

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