まっ赤な女の子

「まっ赤な女の子」

小泉今日子が1983年5月5日にリリースした「まっ赤な女の子」は、彼女の5枚目のシングルであり、フジテレビ系ドラマ『あんみつ姫』の主題歌として知られています。この作品は、小泉にとって重要な意義を持ち、彼女の音楽キャリアにおいて新たな方向性を示すものでした。

シングルの背景と制作

シングルの制作中、小泉は自身のイメージを一新したいという強い希望を抱いていました。この思いを表現するため、彼女は髪型を短くするなどの変化を試みました。また、音楽面でも刷新を図るため、前任のディレクター髙橋隆から田村充義へと交代しました。

新たなディレクターの田村は、ただ従来のスタイルを引き継ぐだけではなく、新しい試みを盛り込みたいと考えていました。そのため、彼らはこれまでとは異なる作家に楽曲の制作を依頼します。作曲は、日本の音楽シーンで名の知れた筒美京平に、作詞には新鋭の康珍化と秋元康という二人の作家が選ばれました。そして、小泉はこのシングルのA面に採用されるのは康の作詞した「まっ赤な女の子」と決定しました。

作詞の過程とコンセプト

康珍化は、この曲を夏にふさわしい楽曲として意識し、海の景色を想像しながら、幼い女の子が描いた太陽やパラソルを使ったクレヨン画をテーマにした歌詞を書いていきました。彼は、詞が受け入れられるか不安を感じていたものの、最終的には田村に渡した際に安堵の気持ちを抱いたと語っています。しかし、彼の喜びも束の間、作曲家の筒美がアレンジを加えた際に、歌詞のかなりの部分が削除されてしまいました。康はその事実にショックを受けつつも、結果的に言葉の無駄を省いて洗練されたポップスとして生まれ変わったことに感謝するようになりました。この経験を通じて、彼は自身の成長を感じ取ったと回顧しています。

曲の印象と編曲

小泉今日子は、「まっ赤な女の子」というタイトルを初めて聞いた際に、少し驚きを感じたものの、曲の完成度に関しては「待ってました」と感動しました。この感情は、曲が彼女にとって待望のものであったことを示しています。

また、編曲には筒美の推薦で佐久間正英が起用され、田村の意向により、イントロにはヴォコーダー・ヴォイスが取り入れられることになりました。佐久間は、スタジオに大型のシンセサイザー「ヤマハ・DX7」を持ち込み、作業を行ったことで、現代的で印象的なサウンドが生まれました。

このシングルは、リリースから1983年の夏に多くの支持を受け、音楽シーンにおける小泉の存在感をさらに強めることとなりました。また、1991年には8cmのCDもリリースされ、カップリング曲として「艶姿ナミダ娘」が収録されています。これにより、彼女の楽曲は多くのファンに親しまれ続けているのです。

収録曲情報

• - まっ赤な女の子（3分27秒）

- 作詞：康珍化
- 作曲：筒美京平
- 編曲：佐久間正英

• - 午後のヒルサイドテラス（2分43秒）

- 作詞：秋元康
- 作曲：筒美京平
- 編曲：佐久間正英

• - 艶姿ナミダ娘（カラオケ）

- 作曲・編曲：馬飼野康二

この楽曲群は、小泉今日子の音楽スタイルの変化を象徴するものであり、日本の音楽史に名を刻む名盤となっています。

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