までい牛

までい牛：福島の魂を受け継ぐ、山武の黒毛和牛

までい牛は、千葉県山武市で肥育・育成されている黒毛和牛です。そのルーツは、福島県相馬郡飯舘村で育まれてきた銘柄牛肉「飯舘牛」にあります。飯舘村の方言で「丁寧に」という意味を持つ「までい」という言葉が、その名に込められています。

震災からの再起：飯舘牛の血統を守り抜く

2011年、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故により、飯舘村は全村避難を余儀なくされました。飯舘牛の生産も、その存続が危ぶまれる状況に立たされました。当時、飯舘村で肉牛農家を営んでいた約220戸のうち、一軒の農家が、村の仲間の牛を含む142頭を連れて千葉県山武市へと避難しました。他の農家も福島県内や県外へと避難しましたが、多くは廃業を余儀なくされました。

山武市に移った農家は、故郷への想いを胸に、飯舘牛の血統を守り抜くことを決意します。放射線量検査をクリアしながら、2012年4月には出荷を再開。2016年には山武市内に土地を購入し、事業を継続。「までい牛」あるいは「山武和牛」としてブランド化に成功しました。

「までい」の精神：美味しさへのこだわり

までい牛は、その名の通り、生産者の「丁寧に」育てる精神が息づいています。きめ細やかな飼育管理と、安全・安心への徹底した配慮が、上質な肉質と風味を生み出しています。口に入れた瞬間にとろけるような舌触り、芳醇な香りと濃厚な旨味が特徴です。

地域を繋ぐ味：広がるまでい牛の輪

までい牛は、牛肉としての販売だけでなく、ソーセージなどの加工品としても展開されています。飯舘村の道の駅「までい館」でも販売され、古里の味を伝えています。また、山武市内の飲食店などでも、までい牛を使った料理が提供されており、地域の人々に愛されています。

未来へ：復興のシンボルとして

までい牛は、震災からの復興のシンボルとして、注目を集めています。飯舘村の魂を受け継ぎ、山武市で新たな命を吹き込まれたまでい牛は、これからも多くの人々に感動と希望を与えてくれるでしょう。その美味しさを通して、飯舘村と山武市、そして日本全体が繋がり、未来へと歩んでいくことを願っています。

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