和牛

和牛とは？知られざる歴史と定義、品種、銘柄、特徴、海外への広がり

和牛（わぎゅう）とは、日本の食文化を代表する高級牛肉です。この記事では、和牛の定義、歴史、品種、特徴、飼育方法、そして海外への広がりについて詳しく解説します。和牛の奥深い世界を堪能ください。

和牛の定義

農林水産省の基準では、食肉として「和牛」と表示できるのは、黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4品種と、これらの交雑種で、日本国内で生育した条件を満たすもののみです。
海外産の和牛は、改良和種であっても「和牛」と表示することはできません。

和牛の起源

古代

日本の牛の歴史は、後期旧石器時代に遡ります。岩手県花泉町で発見された約2万年前の古代野牛ハナイズミモリウシの化石は、当時の日本列島に牛が生息していたことを示唆しています。
弥生時代には、牛の歯が出土しており、すでに食用として利用されていた可能性があります。

古墳時代

古墳時代には、朝鮮半島から牛が渡来したという説が有力です。各地の遺跡から牛の骨や埴輪が出土しており、農耕や運搬に利用されていたと考えられています。

遺伝子から見た起源

近年の遺伝子研究により、和牛は北方系牛に属し、韓国牛とは遺伝情報が大きく異なることが明らかになっています。和牛のルーツは、中国大陸からの移入にあるという説も提唱されています。

和牛の歴史

飛鳥・奈良時代

仏教の影響で肉食が禁じられた時代もありましたが、実際には牛を食べる習慣は続いていました。官の馬牛が死んだ際には、皮や肉を売買する流通ルートが存在していました。

平安・鎌倉・室町時代

牛は主に牛車を引く輓用として利用され、優れた牛は「駿牛」と呼ばれていました。
鎌倉時代から室町時代にかけて、西日本を中心に牛馬耕が盛んになり、農業の発展に大きく貢献しました。

江戸時代

中国地方では、牛を近親交配させて優良な系統を作り出す「蔓」という手法が用いられました。蔓牛は高値で取引され、役牛として重宝されました。

明治時代

神戸港が開港し、外国人が牛肉を求めるようになると、但馬牛（現在の神戸ビーフのルーツ）の評判が高まりました。
政府は、西洋種の牛を輸入して在来の牛と交配させることで、肉量や乳量を増やすことを目指しましたが、交雑種は不評で、在来和牛の価値が見直されるようになりました。

大正時代

和牛の審査登録が始まり、血統や体型が管理されるようになりました。品種も、但馬種、備作種、広島種など9種が登録されました。

昭和時代

黒毛和種、褐毛和種、無角和種という品種による分類がなされるようになり、1957年には日本短角種が追加され、現在の和牛4品種が確立しました。

高級肉牛としての和牛

20世紀後半になると、和牛の飼育目的は役肉兼用から肉専用へと変化しました。和牛は、霜降りと呼ばれる筋肉内脂肪が豊富な肉質を持ち、柔らかく、うまみが強いという特徴があります。
牛肉の輸入自由化以降、和牛は高品質・高価格路線を歩み、海外にも輸出されるようになりました。

和牛の種類

現在の和牛

現在の和牛のほとんどは、外国種との交雑を経て品種として固定化された改良和牛です。その中でも、黒毛和種が約97%を占めています。

黒毛和種: 霜降りになりやすいのが特徴で、高級牛肉として知られています。
褐毛和種: 熊本県と高知県で飼育されており、赤身と脂肪のバランスが良いのが特徴です。
日本短角種: 東北地方で飼育されており、赤身が多く、味が濃厚です。
無角和種: 山口県で飼育されており、名前の通り角がないのが特徴です。

在来和牛

外国種との交雑を経ていない日本古来からの牛も存在します。見島牛と口之島牛の2種類があります。

銘柄牛

産地ごとに肉質の良さをうたったものを銘柄牛といい、神戸ビーフ、松阪牛、近江牛などが有名です。

和牛肉の特徴

和牛肉の特徴は、霜降りと呼ばれる筋肉内脂肪の多さです。脂肪の融点が低いため、口の中でとろけるような食感が楽しめます。また、「和牛香」と呼ばれる独特の甘い香りも特徴です。

日本の和牛

和牛農家

和牛農家は、繁殖農家と肥育農家に分かれています。繁殖農家は子牛を生産し、肥育農家は子牛を育てて出荷します。

等級

日本の牛肉には、歩留等級と肉質等級があり、肉質等級は霜降りの度合いによって評価されます。

去勢

雄牛は去勢することで、肉質が柔らかくなります。

国外に流出した和牛

かつて日本政府は和牛の輸出を禁止していましたが、1976年にアメリカに持ち出された和牛が海外で繁殖され、現在ではオーストラリアやアメリカなどで「WAGYU」として販売されています。

まとめ

和牛は、日本の風土と人々の努力によって育まれた、世界に誇る高級牛肉です。その歴史、定義、品種、特徴を知ることで、より深く和牛の魅力を堪能できるでしょう。

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