まり千代

まり千代の生涯と舞台活動

まり千代（まりちよ）は、1908年2月1日に徳島県で生まれ、東京新橋の著名な芸妓として活躍した。彼女の本名は佐野キミヱである。まり千代はそのキャリアを通じて、舞台の中心的存在となり、多くの人々に愛された。

幼少期とデビュー

まり千代は、11歳の時に新橋の置屋・徳森川で下地ッ子として舞台の世界に足を踏み入れる。この時期に彼女は、伝統的な日本舞踊の基礎を学び始める。1925年には13歳で半玉となり、同年から「東をどり」が始まる。まり千代は毎年この舞台に出演し、名声を高めていく。

襟替えと独立

1928年、彼女は襟替えを経て、ついに一本立ちの芸妓としての道を歩む。このころから彼女は独自のスタイルを確立し、周囲からの支持を受ける。まり千代は、次第に新橋舞台の重要な出演者としての地位を築いていく。

戦後の活躍

その後、1938年に年季が明けたまり千代は、政森川の看板を掲げ、さらに自らの活動を広げた。特に1948年には、戦後の初めての「東をどり」を復活させ、立ち役として注目を浴びる。この年、田舎から出てきた若い踊り手たちを率いることで、まり千代ブームを引き起こしたことは大きな出来事であった。

引退と後進育成

1971年に現役を引退したまり千代は、その後も後進の育成に専念し、長年にわたり日本舞踊界に貢献し続けた。1995年には、「東をどり」では新橋組合の5代目頭取として千秋楽に手締めを行い、彼女の存在感を改めて示した。

最期と影響

1996年1月31日、まり千代は87歳の生涯を閉じた。彼女の死は、多くの人々に深い悲しみをもたらした。まさに10代から踊り一筋で捧げた人生だったと言える。

舞台作品

まり千代は、舟橋聖一作の「源氏物語」、「絵島生島」、「鳥辺山」、「梅川」など、多岐にわたる舞台作品で立ち役を得意とし、多くの観客を魅了した。また、清元榮壽郎作曲、二世西川鯉三郎振付の「雪月花」では、前割れの姿で助六を踊り、その美技は絶賛された。

参考文献

• - 岡副昭吾著『新橋と演舞場の七十年』（1996年）

まり千代の生涯は、ただの芸妓としての活動に留まらず、日本の伝統舞踊文化の発展に大きく寄与した。彼女の足跡は、今なお多くの後輩たちに引き継がれている。

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