半玉

半玉（はんぎょく）とは

半玉とは、主に東京を中心とした関東地方の花柳界における、見習い段階の年少芸妓のことを指します。「おしゃく」「赤襟」「半線香」といった別名も持ち、その名前は、かつて一人前の芸者である「玉代」の半分であることに由来します。全国各地に「半玉」と呼ばれる存在はありますが、ここでは特に東京の半玉について詳しく解説します。

服装の特徴

半玉の服装には、以下のような特徴があります。

髪型: 日本髪で、唐人髷（とうじんまげ）や桃割れ（ももわれ）といった可愛らしい髪型を結い、少し成長すると結綿（ゆいわた）にすることもありました。以前は地毛で結っていましたが、現在では鬘（かつら）を使用することがほとんどです。髪には華やかな花かんざしを飾ります。
着物: 着物には、現代でも「肩揚げ」がついた子供仕様の振袖を着用します。半玉の間は、白塗りの化粧と日本髪で座敷に出ますが、京都の舞妓とは異なり、裾を「おはしょり」をして着るのが特徴です。
帯: 帯は、錦織の帯を「おしゃく結び」（一般に後見結びと呼ばれるものに近い）という半玉独特の結び方で締めます。
半襟: 半襟には、紅系統の豪華な刺繍が施されたものが用いられます。
足元: 足元は、ぽっくり下駄を履きます。

これらの装いには、地域ごとの特色が出ていたようです。

年齢について

かつては、小学校高学年から高校生にあたる年齢の少女が半玉を務めていましたが、現在では法律の関係上、18歳以上（学生は不可）でないと半玉として働くことができません。この年齢制限により、半玉の期間は以前に比べて短くなっています。

芸事

半玉は、座敷で日本舞踊や鳴り物（太鼓など）を披露することが主な仕事です。これらの芸は、一人前の芸妓になるための基礎となります。

近年の動向

半玉として活動できる期間は短く、芸妓と比較するとその期間は限られています。また、座敷着などの準備には費用がかかること、そして近年では半玉になる年齢が高くなっていることもあり、戦後には半玉のなり手が減少していました。しかし、近年では、京都の舞妓のように花柳界が注目を集めるようになり、各地で再び半玉が増加する傾向にあります。これは、伝統文化への関心の高まりと、花柳界の魅力が再認識されていることを示唆しています。

参考資料

中島花代『小さな芸者さん!お酌チャンno.1!』メディアファクトリー、1992年8月、ISBN 4889912592
岡本かの子『雛妓』：新字新仮名 - 青空文庫

外部リンク

Bits of Life In Japan - 太鼓と舞を披露する1920年代の動画

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