まんが 水戸黄門

まんが 水戸黄門

『まんが 水戸黄門』は、1981年9月3日から1982年7月15日までテレビ東京にて放送されたアニメ作品です。制作はナック、現在のICHIが手掛けており、全46話にわたって展開されました。このアニメ版は、時代劇『水戸黄門』を題材にしており、ストーリーは従来の形式を忠実に踏襲しています。

制作背景

本作は、ほぼ毎回悪徳役人や盗賊が民衆を困らせ、それに対して水戸黄門一行が懲らしめるというストーリー展開が特徴です。過去に制作された映画やドラマ版との直接の関連性はありませんが、特にナショナル劇場版からの影響が色濃く見られ、家紋を入れた印籠の使用や、悪党を平伏させる演出があります。その反面、ヒロイックアニメ的な演出が随所に盛り込まれ、アップテンポな主題歌や必殺技の使用、派手な印籠の出し方なども取り入れられています。

さらに、自らの特徴を活かし、登場人物に横文字を使用させるなど、自由な発想による展開も行われています。時には時代考証を無視し、妖怪や鬼との戦いといった非現実的な要素も見られる回も存在します。加えて、ストーリーがハッピーエンドを迎えないエピソードもあり、物語の幅が広がっています。

放送状況と視聴手段

放送当時、テレビ東京系の放送局は関東や大阪に限られていたため、それ以外の地域では他の局で放送されました。視聴率の基準が当時6%とされていた中、本作はシリーズ全体を通して約10%の視聴率を獲得し、一定の人気を誇りました。さらに、この作品はイタリアにおいても『L'invincibile Shogun』として放送され、好評を得ていました。

権利切れ後には一部の地方局で再放送されるも、全話を収録した映像ソフトはなかなか発売されませんでした。そのため、一時期は「幻のテレビアニメ」と呼ばれる不遇な作品ともなっていましたが、2004年には『トリビアの泉』でその存在が取り上げられ、再評価のきっかけとなりました。2006年に時代劇専門チャンネルで全46話の放送が行われ、人気が再燃しました。

その後、ラインコミュニケーションズから全話収録のDVD-BOXが発売され、続々とレンタル店でも取り扱われるようになりましたが、オリジナルフィルムの保存状態が悪く、多くは初回放送を録画したテープからのDVD化が行われたため、画質の問題が残りました。2021年には初のBlu-ray化が実現し、オリジナルネガフィルムが修復され、HDリマスターされたことで、高品質な映像で視聴できるようになりました。

登場人物

本作の主要キャラクターとして水戸黄門、助三郎（助さん）、格之進（格さん）が登場します。水戸黄門は、普段は心優しい老者ですが、事件に関わるとその頭脳で真実を導き出します。助三郎は剣術の達人で、流星十文字斬りなどの必殺技を持つ真面目なキャラクターです。格之進は怪力の持ち主で、力だすきによってさらに強大な力を発揮します。また、捨丸という忍者の少年やその相棒の犬・鈍兵衛といったオリジナルキャラクターも登場し、物語に彩りを加えています。

スタッフと楽曲

制作はナックにより、脚本構成は伊東恒久が担当し、音楽は羽田健太郎が手がけています。本作のオープニングテーマ『ザ・チャンバラ』とエンディングテーマ『ビューティフル モーニング』は、放送当時より視聴者に親しまれてきました。

このように、『まんが 水戸黄門』はひと味違った視点から時代劇の魅力を伝え、多くのファンを魅了し続ける作品であり、アニメ版ならではの表現と演出が際立った作品として記憶されています。

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