まんさくの花

まんさくの花

『まんさくの花』は、1981年4月6日から10月3日まで放送されたNHKの連続テレビ小説第27作目である。この作品は、父親と三人の娘の生活を通じて、現代の家族の在り方を問いかけるものとなっている。日本の連続テレビ小説の多くが、戦争を経た時代に焦点を当てた女性の物語を中心にしていた当時、本作は完全に現代の状況を描く劇として制作された。前回の現代劇は1976年度に放送された『火の国に』まで遡ることから、実に4年半ぶりの挑戦であった。

本作のヒロインを演じたのは、中村明美である。彼女は早稲田大学を卒業し、その難関試験を突破した才能豊かな女優で、今回の作品で本格的な女優デビューを果たした。なお、1981年の平均視聴率は37.1%、最高視聴率は42.4%を記録した（関東地区、ビデオリサーチ調べ）。

あらすじ

物語は、深い雪に覆われた秋田県横手市で展開される。ここに住む中里家は、父親の寛太と三人の娘たちが一緒に暮らしている。寛太は、中学の数学教師であり、妻に先立たれて以来再婚せず、三人の娘を育て上げる。養女としてこの家に迎えられた祐子は、その家族に溶け込んで育ち、澄子や朋子という二人の姉たちと共に青春を謳歌している。

物語が始まる昭和55年の冬、祐子は高校卒業を前にして進路に悩む。彼女は絵が得意で、県の美術展での受賞歴も持っているため、東京の芸術大学への進学を強く希望していた。しかし、父の寛太は最初こそその夢を反対し、「お前の考えは地に足がついていない」と言い放つ。

それでも、祐子の情熱に心を動かされた寛太は、受験を許可する。しかし、期待していた通りに行かず、祐子は不合格となる。約束に従って就職を考えるものの、絵を学びたい気持ちを抑えきれない彼女は悩み続ける。その時、「私はもらい子だから、好きなことはさせてもらえない」と吐露してしまう。長姉の澄子は彼女に一発の頬打ちを加え、祐子は我に返るが、東京行きの志望は消え去るものではなかった。

そんな中、澄子は祐子の気持ちを理解し、彼女を夜明け前の冷気の中、東京へ送り出すことにする。上京した後、祐子は絹代という若い未亡人が経営するクリーニング店で住み込みの店員として働き始める。絹代は町で知り合って意気投合した女性で、店の従業員や近所の若者たちと共に草野球チームの監督も務めている。

一方、横手では寛太や澄子、そして次姉の朋子が、東京に出た祐子のことを気に掛けながら日常を送っている。彼らの生活もまた、祐子の夢に影響を与えながら進んでいく。

出演者

• - 中里祐子（18歳） - 演者: 中村明美

主人公。地元高校卒業後、絵の勉強をする。

• - 寛太（57歳） - 演者: 生井健夫

中学教諭で、養女の祐子を育てる。

• - 長女・澄子（26歳） - 演者: 平淑恵

図書館司書として働き、祐子を支える。

• - 次女・朋子（24歳） - 演者: 横山万里子

信用金庫勤務で、理想の結婚相手を探中。

• - その他のキャストには、祐子の伯母や友人、仕事仲間など、個性的なキャラクターが登場し、物語を豊かに彩る。

スタッフ

このドラマは、高橋正圀が脚本を担当し、音楽は桑原研郎が手掛けている。また、イメージソングとして「夢追い人よ」が使用された。演出は都成潔が行った。

作品制作途中、秋田県の地域文化が深く反映された内容が印象的であり、視聴者に強いメッセージを伝え続けた。2024年現在も、秋田県を舞台にした朝ドラは本作以来制作されていない。

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