まんまる団地

オダシゲ氏が手がける四コマ漫画作品『まんまる団地』は、1975年 2月27日より『しんぶん赤旗』紙上で連載が開始され、半世紀近くにわたり読者に親しまれ続けています。労働者とその家族の暮らしを中心に描かれ、彼らが経験する日々の出来事を温かい視点で捉えたホームコメディです。子供から現役世代、そして退職後の高齢者まで、様々な世代の人々が織りなす喜怒哀楽が、優しい筆致でユーモラスに表現されています。

基本的に登場人物たちの身近な日常が物語の中心ですが、時には社会の動きや流行（例えばスマートフォンや自転車通勤など）が話題に上ったり、かすかに風刺の要素が含まれることもあります。また、毎年5月1日のメーデーには、関連するイベントを舞台にしたエピソードが登場するのが恒例となっています。作者自身の体験を反映したようなエピソードが描かれることもあり、作中に登場する「赤旗まつり」で作者らしきキャラクターがサイン会を開いたり、実際のイベントに関連する八代亜紀氏の楽曲『舟唄』にまつわるエピソードが登場したりしたこともあります。作品のモデルは、作者の義姉の家族であるとされています。

構成としては、一話完結形式が主ですが、主要な登場人物や舞台は固定されています。物語は、以下の三つの異なる舞台を不定期に交代しながら展開します。

- 若い労働者一家とその子供たちを中心に描かれる、家庭や職場でのエピソード。
- 中年を迎えた労働者夫婦の日常を捉えたエピソード。
- 現役を引退した高齢者たちの生活や地域活動を描くエピソード。

若い労働者一家のエピソードでは、工場の管理部門らしき部署に勤める主人公、その専業主婦の妻、アイスクリームと肉まんが好きな小学生の長男、そしてまだ幼い長女が登場します。主人公の同僚や、上司である課長とその妻も重要なキャラクターとして登場し、彼らの人間関係や職場、家庭での出来事が描かれます。

近年、特に頻繁に登場するようになったのが、定年退職後の生活を送る推定60代の高齢者たちが結成した「シルバーパトロール（SP）隊」にまつわるエピソードです。当初、彼らのパトロール活動はなかなかうまくいかない様子がコミカルに描かれますが、物語が進むにつれてその活動の実体が明らかになり、後に地域自治会の活動であることが判明します。

『まんまる団地』の最大の特徴の一つは、その驚異的な連載回数です。2024年12月3日現在、連載話数は17423話を数えています。この記録は、日本の新聞連載四コマ漫画史において特筆すべきものです。かつては、朝日小学生新聞に長年連載された『ジャンケンポン』（泉昭二作、通算16362話）に次ぐ第2位の記録でしたが、『ジャンケンポン』が2023年3月に連載を終了したことにより、『まんまる団地』が日本の新聞連載四コマ漫画の歴代最長記録保持作品となりました。『ジャンケンポン』は「一つの4コマ漫画として最も多く発行された回数」としてギネス世界記録に認定されていますが、『まんまる団地』の現在の話数はこの記録を既に上回っており、新たなギネス記録認定の可能性も注目されています（2024年12月3日現在、正式な認定には至っていません）。

本作は、これ以前にも複数の長期連載記録を更新しています。2014年 1月29日には、毎日新聞で連載されていた『まっぴら君』（加藤芳郎作、通算13615回）を抜き、全年齢層向けの単一タイトル四コマ漫画としては最長記録を樹立しました（当時の話数は13616回）。さらに、2019年4月には、タイトルに変遷はあったものの東京新聞で長年連載された『ほのぼの君（ちびっこ紳士）』（佃公彦作、合計15452回）の総連載回数をも上回っています（ただし、この時点では『ジャンケンポン』も同話数を達成していました）。

単行本化もされており、新日本出版社から『とっておきまんまる団地』、一声社から『まんまる団地』第1集から第10集までが刊行されています。また、作品キャラクターを用いた関連グッズも制作されており、例えば「赤旗まつり」の記念品としてマイボトル、手ぬぐい、エコバッグなどが登場しました。これらのグッズは、ニコニコ超会議の会場や通信販売でも取り扱われ、タレントの春香クリスティーン氏も所有していることが知られています。

長年にわたり多くの読者に愛され続け、日本の漫画史に確固たる地位を築いた『まんまる団地』は、これからもその温かい世界観で日々の物語を紡いでいくことでしょう。

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