みうら (巡視船・3代)

海上保安庁巡視船「みうら」：災害対応と教育の両立

「みうら」(JCG Miura, PL-22)は、海上保安庁が運用する多機能巡視船です。その役割は、海上保安学校の練習船としての教育活動と、災害発生時の迅速な対応の2つに集約されます。後者を実現するため、災害対応型巡視船として設計されており、大規模災害時には被災地へ急行し、人命救助や物資輸送などの救援活動に貢献します。

設計と機能

「みうら」の船体設計は、海上保安大学校の旧練習船「こじま」をベースに、運用実績を踏まえ改良が加えられています。「いず」型と同様の災害対応型設計が採用されており、長船首楼平甲板型の鋼船です。船内には、平時は学生の居住区や教室として使用される3つの会議室や60名収容可能な居住区が備え付けられています。しかし、災害時にはこれらのスペースが活用され、関係機関との連絡調整会議室、病人収容区画、対策本部会議室などとして機能します。最大搭載人員は150名ですが、必要に応じて3時間以内であれば最大1000名まで収容可能です。

船尾甲板は訓練甲板として使用されますが、ヘリコプターの発着にも対応できるよう設計されています。また、減揺タンクやフィンスタビライザーを装備し、高い安定性を確保。「いず」の運用実績を参考に、航行中の揺れを最小限に抑える工夫が凝らされています。

推進システムは、減速機付きの新潟8MG32CLX中速ディーゼルエンジン2基と、4翼スキュー型内旋式の可変ピッチ・プロペラ（CPP）を採用。2つの舵とバウスラスターにより、優れた操縦性能を発揮します。主電源は、ディーゼルエンジン発電機3セットを搭載。停泊時、航行時、出入港時といった状況に応じて、1基から3基まで並列運転することで、安定した電力供給を実現しています。

装備と機能

「みうら」は指揮機能の集約化を進めており、操舵室には操船区画、OIC（Operation Information Center）区画、通信区画が配置されています。操船区画には主機等遠隔操縦盤、航海情報表示装置、警備救難情報表示装置などが設置され、OIC区画には警備救難情報表示装置の副表示器が備え付けられています。練習船としての役割も踏まえ、操船区画とは別に補機室に機関制御室を設置。機関演習だけでなく、OIC区画や通信区画は航海演習や通信演習にも活用されます。

医療面では、船首楼甲板に手術台2基、病床2床を備えた医療区画を設置。吸引装置などの応急手術対応機器も完備しており、大人数の乗船を想定し調理室や糧食庫のスペースも十分に確保。さらに、糧食の迅速な搬送を目的として、糧食区画から調理室、船首楼甲板に至る貨物専用エレベータも備えています。荷役設備としては、大型クレーン1基と雑用クレーン2基が設置されています。

まとめ

「みうら」は、練習船としての役割と災害対応能力を両立させた、海上保安庁を代表する多機能巡視船です。その高い技術力と多様な設備は、人材育成と災害救援活動の両面において重要な役割を果たしています。将来的にも、日本の沿岸警備と防災体制において重要な存在であり続けるでしょう。

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