みさき公園

みさき公園：歴史と変遷、そして未来への展望

みさき公園は、南海電気鉄道が1957年4月1日、創業70周年記念事業として大阪府泉南郡岬町に開園した複合型レジャー施設です。大阪湾を見渡せる丘陵地に位置し、遊園地、動物園、水族館、夏季限定の屋外プール「ぷ～るらんどRiO」などを備え、多くの来場者で賑わいました。

輝かしい歴史と時代の変化

開園当初から、みさき公園は数々の革新的な試みを導入しました。1961年には大阪湾を一望できる観光灯台が設置され、園のシンボルとなりました。1964年には国内初のムービングウォーク「みさき公園スピードライン」が運行を開始するなど、常に時代の先端を行く施設として進化を続けました。動物園は、上野動物園長の古賀忠道博士の設計指導の下、動物地理学的配置による無柵放養式展示を採用し、日本の動物園史において画期的な存在でした。キリンの繁殖実績も高く、「キリンのみさき公園」として知られるほどでした。水族館では、大海洋水槽や水中遊歩道といった、当時としては先進的な設備をいち早く導入しました。

1966年には年間約96万人というピークを迎えた来場者数は、時代とともに減少していき、施設の老朽化や運営費用の増加が経営を圧迫しました。南海電鉄は2019年3月、みさき公園の運営から撤退する方針を発表、運営を引き継ぐ事業者探しが行われたものの、合意に至らず、2020年3月31日をもって動物園、水族館、遊園地の営業は終了しました。

閉園と再整備への道のり

閉園を前に、園内では「みさき公園の卒園式」イベントが開催されました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、臨時休園を余儀なくされるなど、閉園までの道のりは困難を極めました。営業最終日には多くの来場者が訪れ、閉園セレモニーは動画配信となりました。

南海電鉄は、敷地と施設を岬町に無償譲渡。岬町は、町立公園として再整備を進めることとなりました。遊園地のアトラクションの一部は他の施設へ移設され、老朽化した施設の撤去なども行われました。ゲームコーナーにあったアーケードゲーム機は約60台が「レトロゲーセン ザリガニ」によって買い取られ、観覧車は那須高原りんどう湖ファミリー牧場に移設されました。

動物園で飼育されていた動物たちは、アドベンチャーワールドをはじめとする全国の複数の施設へ譲渡されました。その数は約70種450頭にも及び、動物たちの新しい生活の場への移送は慎重に行われました。

新たなみさき公園を目指して

岬町は、民間事業者による公園運営を目指し、公募型プロポーザル方式で事業者を選定しました。カレイドジャパンを代表とする共同事業体「ArkLE」が選定され、「MiLEX（Misaki Life & Ecological Experience）」プロジェクトとして、自然と共生する新しい公園の整備が進められています。

「MiLEX」は、「人間も自然も動物も全て平等」という「共生き」の精神を具現化した、没入型エコロジカルリゾートを目指しています。熱帯雨林ドームやグランピング施設、自然散策エリアなどを整備し、2024年春にはパブリックエリアの暫定開園を予定しています。しかし、都市公園法などの制約や、資材の高騰、人材不足といった課題も存在します。

みさき公園は、長い歴史の中で、時代の変化とともに姿を変えながらも、人々の思い出と共に歩んできました。今後の再整備によって、みさき公園がどのような姿で生まれ変わるのか、大きな期待が寄せられています。その未来は、自然と人、そして地域の共存を象徴する存在となるでしょう。

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