みーちゃったみーちゃった

トムとジェリーのドタバタ劇『みーちゃったみーちゃった』：冷蔵庫の七面鳥と偽装工作

1957年、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー（MGM）所属のウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラによって制作された『トムとジェリー』の傑作短編、『みーちゃったみーちゃった』（原題：Tom's Photo Finish）は、コミカルな展開と予測不能な結末で知られています。この作品では、いつものようにトムとジェリー、そして飼い主とブルドッグのスパイクが織りなす、ドタバタ劇が繰り広げられます。

物語は、トムが冷蔵庫に隠された七面鳥の丸焼きをこっそりつまみ食いするシーンから始まります。しかし、飼い主に見つかりそうになり、慌てて冷蔵庫の裏に隠れます。飼い主は七面鳥の食べ跡を発見し、激怒。犯人はトムかスパイクだと決めつけ、徹底的に探し始めるのです。

窮地に陥ったトムは、大胆な作戦に出ます。ボールとインクを使って、冷蔵庫からスパイクのいる場所まで偽の犬の足跡を作り、スパイクに罪を着せようとしたのです。見事に計画は成功し、スパイクは飼い主に蹴り飛ばされ、家から追い出されてしまいます。トムはまんまと七面鳥を独り占めできたと安心するのも束の間でした。

実は、トムの悪事を全て写真に収めていたのがジェリーだったのです。ジェリーは、トムの悪事を暴き、スパイクの濡れ衣を晴らすべく、撮影した写真を飼い主に示そうとします。この写真が飼い主に見られれば、トムは家から追い出されるだけでなく、スパイクに謝罪しなければなりません。

トムはジェリーの写真を阻止しようと、必死に抵抗します。しかし、ジェリーは大量の写真を焼き増しており、トムがいくら写真を破り捨てても、新しい写真が次々と現れます。トムとジェリーは、家中を駆け巡る激しい追いかけっこを繰り広げます。

最終的に、飼い主はジェリーの写真を発見してしまいます。写真には、トムが七面鳥を盗み食いし、スパイクに罪を着せる様子が克明に記録されていました。トムの悪事が明るみに出た結果、トムは家から追い出されてしまうのです。

しかし、この騒動によってスパイクの濡れ衣は晴れました。飼い主はスパイクを家へ迎え入れ、誤解を謝罪します。そして、ジェリーはトムが追い出される様子を撮影した写真をスパイクに見せ、二人で笑い合うという、なんとも皮肉な結末を迎えます。

この作品には、トム、ジェリー、スパイク、そして飼い主というお馴染みのキャラクターが登場します。それぞれのキャラクターの個性と行動が、物語にユーモラスな要素を加えています。トムの悪巧み、ジェリーの機転、スパイクの不運、そして飼い主の短絡的な判断など、それぞれのキャラクターがストーリーを盛り上げています。

『みーちゃったみーちゃった』は、現在DVD、LD、VHSなどのソフト化がされておらず、コレクターの間では貴重な作品として知られています。2007年にはカートゥーンネットワークで英語放送されたものの、日本語字幕版のソフト化は未だ実現していません。このため、この作品を視聴するには、インターネット上で探すか、再放送を待つしかありません。

この作品は、トムとジェリーの定番のドタバタ劇に加え、写真という現代的な要素を取り入れることで、新たな面白さを生み出しています。シンプルながらも、見ごたえのある作品として、多くのファンを魅了し続けています。 トムとジェリーのコミカルでスリリングな世界観を堪能できる、まさに必見の作品と言えるでしょう。

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