めくり

めくりとは

めくりとは、主に寄席などの演芸場で使用される、出演者の名前を記した紙製の札のことです。大福帳のように、出演順に札が綴じられており、演者の交代に合わせて札を「めくる」ことから、この名前が付けられました。

近年では、テレビの情報番組などで、プレゼンテーションのために用意されたフリップボードの一部を隠しているシールを剥がし、項目を順に見せていく動作も「めくり」と呼ばれるようになりました。

演芸場におけるめくり

演芸場のめくりは、紙に縦書きで、寄席文字と呼ばれる独特の太い書体で大きく書かれるのが一般的です。舞台の下手（客席から見て左側）に置かれることが多く、寄席では欠かせないものとされています。

しかし、近年ではデジタル化が進み、なんばグランド花月のように、めくりが廃止されるケースもあります。

特殊な形式のめくり

新宿末廣亭では、下手に置くのではなく、上手の高座脇の小窓に名前の書かれた板をはめ込む「見出し」という形式が採用されています。高座返しの前座が、演者の交代に合わせてこの見出しを付け替えます。

また、昭和後期の関西や名古屋の演芸場でも、上手の舞台脇の小窓に名前を表示する形式が一般的でした。吉本興業の花月劇場では、フリップ方式を採用しており、書体はゴシック体でした。一方、松竹の道頓堀角座などでは、パネル板が回る方式を採用し、書体は明朝体を使用。大須演芸場では、パネル板を回転させる方式で、専属の絵師が文字を書いていました。

めくりの役割

めくりは、単に出演者名を提示するだけでなく、演芸場の雰囲気を盛り上げ、観客に次の演者への期待感を持たせる役割も担っています。また、独特の書体やデザインは、演芸場の伝統や個性を表現する要素にもなっています。

関連事項

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