もりたなるお

もりたなるお（森田成男）

もりたなるお（本名：森田 成男、1926年1月9日 - 2016年11月21日）は、昭和から平成にかけて活躍した日本の作家であり、漫画家でもありました。

人物

東京に生まれた森田は、その生涯において多様な職業を経験しました。警察学校を卒業後、工夫、農民、警察官、海軍軍人といった職を経て、風刺漫画家として知られる近藤日出造に師事し、漫画の世界に入ります。彼の風刺漫画は高く評価され、二科賞、二科漫画賞を受賞しました。

しかし、森田の才能は漫画だけにとどまりませんでした。小説家としての道を歩み始め、同人誌『回転寿司考』を一人で発刊し、小説を発表し続けました。1974年には「頂」で小説現代新人賞を受賞、1980年には「真贋の構図」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、直木賞候補にも選ばれました。これを機に、本格的な作家活動を開始します。

その後も、1986年「画壇の月」、1987年『無名の盾』、1988年『大空襲』、1990年『銃殺』と、計五回にわたり直木賞候補となります。1993年には、高橋由一、三島通庸を描いた『山を貫く』で新田次郎文学賞を受賞しました。

森田の作品は、相撲、警察、歴史といったテーマを扱ったものが多く、その豊富な知識と経験に基づいたリアリティ溢れる描写が特徴です。特に、警察官としての経験を生かした作品や、歴史的事実を丹念に取材した作品は、多くの読者を魅了しました。

著書

漫画（森田成男 名義）

『日吉丸』集英社 1955
『ガリバー旅行記』集英社 1956

小説（もりたなるお 名義）

『漫画謝肉祭』講談社 1983
『横綱に叶う』双葉社 1984
『警察官物語』新潮社 1985
『真贋の構図』文藝春秋 1986 のち文庫
『無名の盾 警察官の二・二六事件』講談社 1987 のち文庫
『抵抗の器 小説・山田顕義』文藝春秋 1987
『忠臣蔵の絵』講談社 1988
『相撲百科』文春文庫 1988
『大空襲 昭和二十年三月十日の洲崎警察署』講談社 1988
『後生畏るべし』講談社 1989
『貴ノ花散る 相撲小説集』文春文庫 1990
『銃殺 運命の二・二六事件』講談社 1990 のち文庫
『金星 相撲小説集』文春文庫 1990
『土俵に棲む鬼 相撲小説集』文春文庫 1992
『山を貫く』文藝春秋 1992
『逆浪 一警備警察官の三十年』新潮社 1993
『鎮魂「二・二六」』講談社 1994 のち文庫
『雪辱』講談社 1995　（二・二六事件の遺族を描く）
『力人 雷電為右衛門』新潮社（新潮書下ろし時代小説）1996
『無冠の華』講談社 1996
『轟く土俵 小説・白真弓肥太右衛門』新人物往来社 1997
『千人同心』講談社 1998
『昭和維新 小説五・一五事件』新人物往来社 2000
『広瀬中佐の銅像』新人物往来社 2002
『虚無僧秘帖』新人物往来社 2004
『雷走る 大相撲をつくった男たち』水曜社 2005
『戦国馬飼物語』新人物往来社 2006
『芸術と戦争 従軍作家・画家たちの戦中と戦後』産経新聞出版 2007
* 『虐殺 一巡査の告白』新人物往来社 2007

森田成男は、その多岐にわたる経験と才能を生かし、日本の文学界に大きな足跡を残しました。

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