やすきよの腕だめし運だめし

『やすきよの腕だめし運だめし』（やすきよのうでだめしうんだめし）は、1981年から1982年にかけて読売テレビで毎週土曜日正午に放送された視聴者参加型のゲームバラエティ番組です。関西を代表する漫才師、横山やすし・西川きよしが司会を務め、当時若手人気タレントであった明石家さんまがレギュラーとして番組を盛り上げました。

この番組は、毎回登場する4組の一般参加者が、吉本興業所属の芸人とタッグを組んで様々なゲームに挑戦するというユニークな形式をとっていました。番組の序盤、第2回目以降は主に大阪のうめだ花月からの公開放送で行われ、観客の熱気に包まれながら進行しました。「さんまを落として、ハワイに行こう！」というキャッチコピーが示す通り、番組のクライマックスには明石家さんまをフィーチャーしたゲームが待ち受けていました。

番組はいくつかの関門を経て、最終的な勝者を決定しました。

第1関門：演芸アピール
各チームが自ら考案した漫才やコントを披露し、その出来を審査員が採点しました。4名の審査員がそれぞれ5点の持ち点を持つ合計20点満点で評価が行われ、最も点数が低かったチームはここで敗退となります。

第2関門：フェンシング玉刺し
体力と集中力が求められるゲームです。番組のレギュラーである明石家さんまが投げ入れる6個のグレープフルーツを、フェンシング用の剣を使っていくつ正確に突き刺せるかを競いました。この関門でも、最下位となったチームは次のゲームに進むことができませんでした。

第3関門：風船テニスゲーム
ラケットの面に押しピン（画鋲）が多数取り付けられた特殊なラケットを用い、バドミントンの要領で風船を打ち合うゲームです。風船を床に落としてしまったり、ラケットのピンで風船が割れてしまったりするとアウトとなります。先に規定の点数を取ったチームが勝利となりますが、ゲームが進むにつれて使用される風船のサイズが大きくなるという趣向が凝らされていました。特に巨大な風船が登場する際は、客席の後方から観客が協力して舞台まで送り届けるのが恒例となっており、ごく稀に観客席で大きな風船が割れてしまうハプニングも見られました。このゲームで勝利したチームが最終ステージであるラストゲームへの挑戦権を得ましたが、番組の末期には、惜しくも敗れた2位のチームにもラストゲームに参加するチャンスが与えられるようになりました。

ラストゲーム：水槽ゲーム
この番組の最も有名な、そして最も盛り上がるクライマックスシーンでした。大きな水槽の上に、毎回趣向を凝らした様々なコスプレ姿の明石家さんまが正座して待機しています。挑戦するチームは、水槽に繋がる赤と青、どちらかの棒を選んで引きます。司会の西川きよしによるファンファーレと笛の合図で棒を引き、選んだ棒が正しければ水槽の底が開き、さんまが水槽に落下し、見事ハワイ旅行を獲得できました。しかし、「残念」という白い文字の入った赤い垂れ幕が現れて水槽が開かなかった場合、ハワイ旅行は獲得できませんでした。しかし、番組には必ずさんまが水槽に落ちるという「お約束」があり、ハワイ旅行を逃した場合でも、西川きよしが「こっちを引けばハワイやったのに…」と言いながらもう一方の棒を引っ張り、結局さんまは水槽に落ちる演出が取られました。また、挑戦する芸人チームのメンバーも一緒に水槽に入るのが恒例で、中にはシャンプーを持参して水槽の中で頭を洗うという大胆なパフォーマンスを見せたタレント（紳助・竜介）もいました。番組末期に2位チームも参加可能になったことで、1位チームを差し置いて2位チームがハワイ旅行を獲得するという意外な展開も生まれました。

明石家さんまは当時非常に多忙を極めており、稀に番組収録を休むことがありました。その際には、通常は司会を務める西川きよしがさんまの代役としてコスプレをし、水槽に落ちる役を務めました。また、通常は西川きよしがファンファーレや笛の合図、そして番組のエンディングの挨拶を担当していましたが、西川きよしが水槽に落ちる側に回った場合は、相方の横山やすしがこれらの役割を代わりに務めていました。

『やすきよの腕だめし運だめし』は、やすきよの絶妙な掛け合いと司会、さんまの体を張ったリアクション、そして参加型のゲームが生み出す予測不能な展開が魅力の番組として、短期間ながらも多くの視聴者に記憶されています。当時の土曜正午のテレビ番組として親しまれ、その後の日本のバラエティ番組におけるゲーム企画のあり方にも影響を与えたと言えるでしょう。

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