やまと新聞

やまと新聞の歴史

『やまと新聞（やまとしんぶん）』は、1886年に創刊され、1945年まで発行されていた日本の日刊新聞です。この新聞は、明治後期において東京の有力な新聞の一つとなり、娯楽や政治に関する情報を提供する重要なメディアでした。特に、民衆向けの娯楽趣味に特化した編集方針を持ち、時代の風俗や文化を反映した特徴的なページを展開しました。

沿革の始まり

『やまと新聞』の前身は、1884年に創刊された『警察新報』です。この新聞は警察に関連する事件や情報を報道する小新聞としてスタートしましたが、売れ行きが伸びなかったため、わずか2年で終刊。1886年には、新たに『やまと新聞』として生まれ変わりました。創刊当初には、東京日日新聞の関係者が参加し、資金的支援を受けてスタートしました。

大衆の支持を受けて

『やまと新聞』は、在京の庶民をターゲットにした報道が特徴で、特に花柳界や芸能界について扱った記事、連載物、さらにはゴシップなどに多くのページが割かれていました。また、著名な挿絵師の作品が掲載されるなど、視覚的にも楽しませる工夫がありました。

1897年、やまと新聞社は子爵高島鞆之助に譲渡され、1900年には松下軍治が買収。この時期に『日出国新聞』という改題も行なわれ、再び『やまと新聞』の題号に戻ります。特に夕刊では高い人気を誇り、多くの読者を引きつけました。

戦争と経営の困難

1913年には第一次護憲運動に関連して、「御用新聞」として攻撃を受け、1914年のシーメンス事件など政治的な問題が社勢に影響を与えます。特に1923年の関東大震災では社屋が焼失し、経営に打撃を受けました。その後も経営行き詰まりに苦しみつつ、1932年には岩田富美夫が経営権を引き継ぎました。

1945年には、大東亜戦争が終結し、やまと新聞は『新夕刊』として新たなスタートを切りますが、同年12月には経営者がA級戦犯に指名されるという厳しい状況に直面します。しかし、『新夕刊』もやがて合併や改題を経て、最終的には『国民タイムズ』として新たな形で出版されることになります。

『国民タイムズ』と後の展開

1958年には『国民タイムズ』が発行され、なおかつ『夕刊東京スポーツ』へと変遷し、時代に応じたスポーツ新聞としての位置づけを得ることとなります。このように、やまと新聞は日本の新聞史において特異な旅路を辿り、多様な文化や情報を提供し続けたメディアと言えるでしょう。

近年の再評価

2022年には、同名のやまと新聞が電子版として新たに存在していますが、これは1932年に創刊し、1944年に発行が停止された『帝都日日新聞』からの流れです。このように、やまと新聞は歴史的な背景を持ちながら、現代においても一部の形態で存在感を示しています。

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