やらずぶったくり (小説)

『やらずぶったくり』は、梶山季之による長編小説で、1970年から『週刊明星』に連載されました。

物語は、1970年代初頭の証券会社を舞台に展開します。主人公の神田海太郎は、同期入社の水原麦彦に強いコンプレックスを抱きながらも、仕事と恋愛に情熱を燃やします。しかし、度重なる不運に見舞われ、人生をゼロからやり直すことを余儀なくされます。この物語は、どん底から這い上がろうとする男の奮闘を描いています。

登場人物

水原麦彦（みずはら つぎひこ）: 世界証券の社員。27歳。大蔵官僚の息子で、長身で容姿端麗。
神田海太郎（かんだ みたろう）: 世界証券の社員で、麦彦の同期。28歳。麦彦より1つ年上だが、大学を留年している。小太りで容姿は劣るが、努力家。
神田陽子（かんだ ようこ）: 海太郎の従姉妹。24歳。演劇を志していたが、新宿のバーでホステスとして働いている。麦彦の子を身ごもるが、堕胎手術を受ける。
川瀬道子（かわせ みちこ）: 陽子が働くバー『ホット』のママ。
川瀬弓子（かわせ ゆみこ）: 道子の娘。海外旅行の費用を欲しがっている。
辺見敏吉（へんみ としきち）: 海太郎が住む下宿の大家。70歳。下宿屋を売却するため、海太郎らに立ち退きを迫る。
多々良敬三（たたら けいぞう）: 海太郎の大学時代の友人。中野で漫画家として活動しており、海太郎の引っ越し先を探す。
羽田加奈子（はねだ かなこ）: 海太郎と同じ下宿に住む未亡人。生命保険の外交員。
小笠原絹子（おがさわら きぬこ）: リアカーで引っ越し中の海太郎を車で轢いてしまった女性。芸大で演劇を専攻している。23歳。長身でミニスカートを履いている。
倉坂公子（くらさか きみこ）: 麦彦の婚約者で、絹子の親友。小柄な若手女優。
光村千之助（みつむら せんのすけ）: 辺見の下宿屋を買収した実業家。女たらしだが、同性愛者でもある。40歳。

書誌情報

やらずぶったくり(新連載) 梶山季之・横塚繁（挿絵）『週刊明星』52ページ（1970年8月9日号から連載）集英社
『やらずぶったくり（やらずの巻）』『やらずぶったくり（ぶったくりの巻）』集英社　1971年
『やらずぶったくり（やらずの巻）』『やらずぶったくり（ぶったくりの巻）』大歳克衛（表紙カバー絵） 集英社文庫　1986年 ISBN 4-08-749161-7


この小説は、当時の社会情勢や人々の価値観を反映しており、読者に深い共感と感動を与えます。また、登場人物たちの複雑な人間関係や、それぞれの生き様が、物語に深みを与えています。

関連項目

下宿
堕胎
不動産
証券

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