ゆるふわギャング

ゆるふわギャング

ゆるふわギャングは、ラッパーのRyugo IshidaとNENE、そしてプロデューサー兼トラックメーカーのAutomaticによって2016年に結成された日本のヒップホップユニットです。

結成以前の来歴

Ryugo Ishida

Ryugo Ishidaは1993年、茨城県土浦市で生まれました。幼少期に両親が離婚し、父親との再会は一度きり。虐待を受けていた過去から再会を恐れていましたが、その時の父親は彼の言うことを何でも聞いてくれたといいます。しかし、その後連絡は途絶え、父親の事故死を知ることになります。

小学校高学年から学校に行かなくなり、中学時代も保健室で過ごすことが多かったRyugo。中学1年生でサッカーを辞め、グレ始めますが、暴走族には入らず。初めての彼女がレイプされたり、新しい父親が自殺未遂を起こしたりと、厭世観を抱く出来事が重なりました。

ヒップホップ好きの従兄弟に憧れ、ZeebraやEminemなどのラップ音楽を聴くように。中学3年生の頃、初めてクラブを経験し、地元のラッパーDEAR’BROに声をかけられ、彼の楽曲に圧倒されたことがきっかけでラッパーになることを決意。DEAR’BROのサイドMCを務めることになります。ヒップホップの「ゲットーを抜け出す」というカルチャーに惹かれ、音楽に没頭するようになりました。

自身で曲作りを始めたRyugoは、ジブリ作品集のインストにラップを載せた最初の楽曲を制作。その後、Def Techをビートジャックした曲を友人とレコーディング。高校入学後もリリック制作やクラブ遊びに明け暮れ、イベントを主催。2015年にはSEEDAとDJ ISSOのコンピレーション・アルバムに参加しました。

Tシャツプリント店でアルバイトをしながら音楽活動を続け、古着店をオープンするも廃業。その後、Automaticに出会い、プロデュースを依頼。Automaticからの楽曲提供とアドバイスを受けながらトラップを練習し、フリーダウンロードのEPをリリース。2016年5月には1stアルバム『EverydayIsFlyday』をリリースし、MCネームを本名に変更しました。

NENE

NENEは1994年、東京都品川区で生まれました。幼い頃から自分はスーパースターになると信じて疑わず、海外に行く資金を貯めるため、中学生時代からアルバイトを始めました。高校2年生で中退後、ニューヨーク旅行へ。親は彼女の意志の固さを理解し、行動を制止しませんでした。

15歳頃から六本木のクラブに出入りし、アメリカのカルチャーに憧れを抱いていたNENEは、高校2年生頃からヒップホップを聴くようになり、Eminemの音楽に衝撃を受けました。友人にラッパーが多かったこともあり、ラップを始め、2016年4月にはフリーのEP『SALT』をリリースしました。

Automatic

Automaticはいわゆる「さんピンCAMP」世代で、ラップグループとクルーでイベントを主催していました。20代後半まで音楽活動を続けましたが、子供ができたことを機に音楽を辞め、転職。しかし、過酷な労働環境から3年間で退職。地元に戻り、ニート生活を送る中で、自分に何ができるかを考え続けました。

東日本大震災後、イベント主催とDJ、ビートメイクを再開。友人のラッパーDEAR'BROを介してRyugo Ishidaと出会い、彼の才能に可能性を感じ、プロデュースを依頼されたことをきっかけに、楽曲制作に取り組みました。

ユニット結成以後のキャリア

ゆるふわギャングの結成

Ryugo IshidaとNENEはクラブイベント「BLUE MAGIC」で出会い、意気投合。Ryugoのソロアルバムを聴いたNENEが「ゆるふわ」であると感じたことと、Ryugoの出で立ちから「ギャングっぽさ」を感じたことから「ゆるふわギャング」というユニット名を提案しました。

Automaticの提案でEPを制作し、その後1stアルバムをリリースするためにクラウドファンディングを実施。目標金額を大幅に上回る資金を集めました。2016年11月には、アルバムイラストを描いたグラフィティライターやラッパーに出会い、激励の言葉に感銘を受け、楽曲を制作しました。

1stアルバム『Mars Ice House』の発表

ゆるふわギャングの1stアルバム『Mars Ice House』は2017年4月5日にリリースされました。「火星の氷の家」という名前は、火星移住実験の基地プロジェクトから引用。制作時、Ryugoは金銭的な問題から高速道路を使えず、土浦から東京までの時間をフリースタイルに費やし、見える景色をそのまま曲にすることもあったといいます。活動は2人にポジティブな影響を与え、楽曲制作の方法にも変化をもたらしました。

1stMV『FUCKIN CAR』は広範囲に影響を及ぼし、海外メディアやDJからも注目を集めました。

NENEのMC名変更と『NENE』の発表

2017年12月6日にはNENEが初のソロアルバム『NENE』をリリース。名義を「Sophiee」から幼少期からの愛称である「NENE」に変更しました。「東京の中のオアシス」をイメージして制作され、SALUや5lackなど、豪華なゲストが参加しました。

2ndアルバム『Mars Ice House Ⅱ』の発表

2ndアルバム『Mars Ice House Ⅱ』は2018年12月6日にリリース。ロサンゼルスでレコーディングが行われ、カナダのプロデューサー、ライアン・ヘムズワースが参加しました。アメリカでの経験が音楽性に大きな影響を与えた作品となりました。

音楽性

ゆるふわギャングの音楽性は、Automaticのビートと二人の声質のバランスが絶妙で、リリックのドラマに引き込まれると評されています。ロードムービーのようなアルバムであるとも形容されています。

影響

映画やドラマから多くのインスピレーションを受けており、SUPERCAR、電気グルーヴ、ゴリラズなどの音楽を好んで聴いています。ヒップホップでは、ミーゴスやグッチ・メインなどを聴くほか、THE BLUE HEARTS|THE_BLUE_HEARTSからも影響を受けています。

ディスコグラフィ

アルバム

ゆるふわギャングとしてのアルバム
ソロアルバム・EP

シングル

脚注

参考文献

つやちゃん「モードを体現する“名編集者”NENE」『わたしはラップをやることに決めた　フィメールラッパー批評原論』DU BOOKS収録、2022年1月

外部リンク

ゆるふわギャング - Mary Joy Recordings
* ゆるふわギャング (@YRFWG_LTD) - X（旧Twitter）

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