よくあることさ

トム・ジョーンズ「よくあることさ (It's Not Unusual)」：誕生秘話と時代を超えた魅力

「よくあることさ (It's Not Unusual)」は、トム・ジョーンズの代表曲として世界中で親しまれています。しかし、この曲がどのようにして生まれ、トム・ジョーンズの手に渡ったのか、その背景には興味深い物語があります。

サンディー・ショウのために書かれた楽曲

「よくあることさ」は、レス・リードとゴードン・ミルズによって書かれました。当初、この曲はイギリスの女性歌手サンディー・ショウのために用意されたものでした。トム・ジョーンズは、ショウに提供されるデモ音源としてこの曲を録音しました。

しかし、このデモ音源を聴いたショウは、ジョーンズの歌唱に圧倒的な魅力を感じました。彼女は、自身でこの曲を取り上げることを断り、ジョーンズの録音でリリースすることを強く勧めたのです。この決断が、「よくあることさ」をトム・ジョーンズの代表曲として、世界に広めるきっかけとなりました。

トム・ジョーンズの出世作

「よくあることさ」は、トム・ジョーンズにとってデッカ・レコードからリリースされた2枚目のシングル盤でした。1965年にリリースされると、瞬く間に全英シングルチャートで首位を獲得。さらに、アメリカ合衆国でも初のヒット曲となり、同年5月には10位まで上昇しました。

この曲の成功により、トム・ジョーンズは一躍スターダムにのし上がりました。1960年代後半から1970年代前半にかけて、彼は自身のテレビ・バラエティ番組『This is Tom Jones』のテーマ曲としてこの曲を使用。これにより、「よくあることさ」は、トム・ジョーンズの代名詞とも言える楽曲となりました。

レコーディング秘話と参加ミュージシャン

「よくあることさ」の編曲は、レス・リードが担当しました。この曲のレコーディングには、当時のトップ・セッションミュージシャンたちが参加しています。

ギターは、ジョー・モレッティが演奏しています。ドラムはアンディ・ホワイト、キーボードは当時まだ無名だったレジナルド・ドワイト（後のエルトン・ジョン）が担当しました。

数々のカバーバージョンと大衆文化への影響

「よくあることさ」は、数多くのアーティストによってカバーされています。インプレッションズ、スプリームス、シェールなど、ジャンルを超えた様々なアーティストが、この曲を独自の解釈で歌い上げています。

また、この曲は大衆文化にも大きな影響を与えました。テレビドラマ『The Fresh Prince of Bel-Air』では、登場人物のカールトン・バンクスがこの曲に合わせて踊るシーンが有名です。また、『ザ・シンプソンズ』やティム・バートンの映画など、数多くの映像作品で使用されています。

「よくあることさ」は、リリースから半世紀以上経った現在でも、世界中で愛され続けています。そのキャッチーなメロディーと、トム・ジョーンズの力強い歌声は、時代を超えて人々の心を魅了し続けています。

この曲は、トム・ジョーンズの音楽キャリアにおける重要なターニングポイントであり、彼の代表曲として、これからも歌い継がれていくことでしょう。

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