わが友フランケンシュタイン

『わが友フランケンシュタイン』は、和田慎二氏によって描かれた連作短編漫画シリーズです。物語の中心となるのは、フランケンシュタイン博士が生み出した人造人間、サイラス。醜い外見とは裏腹に、優しい心を持つサイラスを巡り、様々な人間たちの愛憎劇が展開されます。

舞台は1802年から1848年のドイツ各地。各短編はオムニバス形式で構成され、サイラスと出会う人々との交流を通じて、人間の心の光と闇が描かれます。

各エピソードの概要

わが友フランケンシュタイン
名家の娘ミアは、不気味な痣のせいで人目を避けて生きていました。そんな彼女の元に、土砂に埋もれていたフランケンシュタインの怪物が運び込まれます。ミアは怪物を蘇らせ、サイラスと名付けます。サイラスの優しさに触れるうちに、ミアは次第に心を開いていきますが、サイラスは山火事の中で姿を消してしまいます。

谷間に鳴る鐘
谷間の村では、「悪魔の叫び声」と呼ばれる怪音が人々を苦しめていました。氷漬けになっていたサイラスは、村人から監視されますが、少女イルゼと心を通わせ、匿われることに。イルゼの告げ口から、サイラスは村を追われる身となります。村に鐘の音が鳴り響く中、サイラスは戻ってくることはありませんでした。

怒りの十字架
財宝伝説のある村で、口のきけない少女ヒルダは村人から虐げられていました。ヒルダは湖底で眠るサイラスを見つけ、蘇らせます。しかし、財宝目当ての領主や村人に酷使されたヒルダは、サイラスの目の前で命を落とします。怒りに燃えたサイラスは村人を皆殺しにし、姿を消します。

炎の地平線
足が不自由な貴族の娘クリスティーネは、サイラスと心を通わせます。彼女の財産を狙う悪徳親子、サイラスに復讐を誓うフランケンシュタイン博士、そして博士が作り出した人造人間の女性イボンヌ。様々な思惑が交錯する中、火山が噴火し、イボンヌは命を落とします。クリスティーネはイボンヌの足の神経を移植され、新たな人生を歩み始めます。

サイラスは後に、『怪盗アマリリス』の番外編「アルカディア作戦」にも登場し、現代の日本で活躍する姿が描かれています。

書籍情報

マーガレット・コミックス 集英社
わが友フランケンシュタイン 1977年3月20日 ISBN 4-08-850276-0
Star Comics 大都社
わが友フランケンシュタイン 1994年12月26日 ISBN 4-88653-057-5

関連項目
* 怪盗アマリリス - アルカディア作戦

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