わが命つきるとも

映画『わが命つきるとも』の概要

『わが命つきるとも』（英題：A Man for All Seasons）は、1966年に製作されたイギリスとアメリカの合作映画で、ロバート・ボルトの戯曲を映画用に改作した作品です。この映画は、第39回アカデミー賞において8部門にノミネートされ、6部門で受賞しました。

ストーリーの背景

物語の舞台は1528年のイングランド。国王ヘンリー8世は、世継ぎを生むことができない王妃キャサリンとの離婚を望み、宮廷の女官アン・ブーリンとの結婚を夢見ています。しかし、当時はカトリック教徒が多数を占める国であり、離婚にはローマ法王の承認が必要でした。トマス・モアは、裕福で教養がある文学者として知られ、カトリック教徒の忠実な支持者でもありました。

トマス・モアの信念

モアは、宗教的信念に基づいて王の離婚に反対し、自身の信念を貫く姿勢が強調されます。彼は、ウルジー枢機卿から国王の離婚をローマ法王に取り成してほしいと依頼されますが、モアはこれを断ります。この決断は、彼自身の高潔さを象徴しており、彼の周囲の人々—特に家族や友人たちは、その選択がもたらす危険を心配します。

政治的陰謀

モアの拒絶に対し、ヘンリー8世の怒りは募り、ついには自身がイングランド国教会を設立し、国王自らがその首長に就任するという事態に至ります。モアは、国教会や王の離婚を認めず、信念に従って大法官を辞任します。この時、彼の友人や家族は国王に忠誠を誓うことを説得されますが、モアはそれを拒否し、彼らを守るために距離を置くことを選びます。

投獄と裁判

最終的に、モアは反逆罪で逮捕され、裁判にかけられます。信じるものを守るために頑なに戦い続けるモアですが、裁判では彼を抹殺しようとするクロムウェルが暗躍し、友人リッチが虚偽の証言を行い、裁判は不利に進展していきます。モアは法廷で壮絶な戦いを繰り広げますが、結局彼は死刑を宣告されます。

結末と評価

モアは、自らの信念に従い、処刑に臨みます。彼は自分の選択が神の元へ導くものであると確信しており、その姿は観客に深い感動を与えます。この映画は、人間の道徳的勇気、信念のあり方、そして歴史的事実を強く意識させる作品になっています。

キャストと受賞歴

キャストにはポール・スコフィールド（トマス・モア）、クロムウェル役のロバート・ショウなどが名を連ねています。また、映画は多くの映画賞でも高く評価されており、作品自体の質の高さを証明しています。

この映画は、人間の内面と外的な状況との葛藤をリアルに描き出しており、観る人々に思索を促す力強いメッセージを持った作品として今日も語り継がれています。

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