枢機卿

枢機卿についての詳説

枢機卿（すうききょう）は、カトリック教会において教皇の最高顧問としての役割を果たします。彼らは「枢機卿団」として教皇を直接に支え、重要案件についての助言を行うため、教会全体にわたってさまざまな職務を担っています。枢機卿の正式な称号は「聖なるローマ教会の枢機卿」であり、彼らという言葉は、ラテン語である「Cardo（カルド）」に由来し、教会における重要性を表現しています。枢機卿に対する敬称は「猊下」となります。

任命と役割

枢機卿は、原則として司教の叙階を受けた聖職者から教皇が任命し、任期は定められていません。また、教皇選出選挙であるコンクラーヴェの選挙権を持つのは枢機卿のみです。教皇が亡くなった際などの使徒座空位時には、枢機卿団が教皇庁の運営を指導する役割も担い、この詳細は1996年に制定された使徒憲章『ウニヴェルシ・ドミニチ・グレギシ』に明記されています。

枢機卿の位階

枢機卿には、教会法典第350条に基づき、三つの位階があります。これらは司教枢機卿、司祭枢機卿、助祭枢機卿と呼ばれ、いずれもカトリックの聖職位階とは異なります。実際、枢機卿はほとんどが司教の叙階を受けた聖職者です。彼らは13世紀から緋色の服を用いる習慣があり、この色は信仰のために命を捧げるという覚悟を象徴します。

歴史的背景

枢機卿の起源は5世紀に遡り、当初はローマ市内に住む司祭や助祭が教皇の顧問として活動していました。時が経つにつれ、ローマ周辺の司教も含まれるようになり、現在の形態へと変遷しました。中世になり、教皇選挙権は枢機卿団に限られるようになりましたが、教皇は古代にはローマ市民によって選ばれていました。16世紀になると枢機卿団の規模が急速に拡大し、教皇シクストゥス5世はその人数を70人に制限しました。

現代の枢機卿団

その後、教皇ヨハネ23世がこの人数制限を解除し、枢機卿団は増員されました。教皇パウロ6世は、教皇選出の権利を持つのは80歳未満の枢機卿に限り、最大120人の枠を設けました。このため、有権枢機卿の数が120人を超えることがあるものの、実際には次回の選挙までに多くがその枠に収まるようになっています。

日本人の枢機卿

日本では、歴史上6人の国籍保持者が枢機卿として任命されています。東京大司教の土井辰雄、大阪大司教の田口芳五郎、長崎大司教の里脇浅次郎、東京大司教の白柳誠一、横浜司教の濱尾文郎、そして大阪大司教の前田万葉です。前田枢機卿は、2018年に任命され、存命中では唯一の日本人枢機卿です。彼は2029年までコンクラーヴェに参加する義務があります。

結論

枢機卿はカトリック教会の重要な構成員であり、教皇の下で教会の運営を支えています。彼らの役割や歴史的な変遷は、教会の発展とともに変化しており、その背景を知ることでより深い理解が得られるでしょう。

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