わぐりたかし

多彩な才能で社会を彩る：和栗隆史氏の軌跡

和栗隆史（わぐり たかし）氏は、1961年東京都生まれの放送作家、語源ハンター、そして宿坊博士（経済学博士）という、多岐にわたる肩書きを持つ人物です。その活動は、テレビ番組の企画・制作から、言葉のルーツを辿る旅、さらには教育現場での革新的な取り組み、そして宿坊研究へと、驚くほど幅広く展開しています。

放送作家としての華々しいキャリア

和栗氏の放送作家としてのキャリアは、学生時代に人気番組『アメリカ横断ウルトラクイズ』のアシスタントを務めたことから始まりました。その後、ディレクターやプロデューサーも兼任し、数々の人気番組を企画・構成・演出。霊能者の宜保愛子氏、聖者サイババ氏、催眠術師のWATARU（作家 松岡圭祐氏）、マジシャンのセロ氏、美容家のIKKO氏、美食家の来栖けい氏など、個性的な才能の発掘にも尽力しました。また、民放初の南極生中継やエジプト・ピラミッド特番など、国内外を舞台にした大型スペシャル番組も数多く手掛けています。

語源ハンターとしての冒険

和栗氏は、世界でただ一人の「語源ハンター」としても知られています。言葉が生まれた場所、つまり「語源遺産」を訪ねて世界中を旅し、そのルーツを探求しています。「サンドイッチ」の語源とされる英国サンドイッチ伯爵家を訪ね、その真相に迫ったことは特筆すべき功績です。読売新聞夕刊連載コラム「語源ハンター」をはじめ、新聞・雑誌連載や、『地団駄は島根で踏め〜行って・見て・触れる《語源の旅》』、『ぷらり日本全国「語源遺産」の旅』などの著書も出版し、言葉の面白さや奥深さを伝えています。

食と文化への情熱

和栗氏は、食文化にも深い関心を寄せており、日本フードジャーナリスト会議の代表や日本フードメディアフォーラムの主宰を務めています。また、辻静雄食文化賞の中間選考委員や、料理本のアカデミー賞「Gourmand World Cookbook Awards（グルマン世界料理本大賞）」の日本事務局代表としても活躍。さらに、美味しい動画配信サイト「キッチンライフTV」の統括プロデューサーや、美味しいブックサロン「Cook Book Cafe」の店長も務め、食文化の発展に貢献しています。

学校長としての革新的な教育実践

2014年、和栗氏は大阪府公立学校長に転身し、大阪府立金岡高等学校の校長に就任しました。ここでは、日本初の「帰宅部」を創設するなど、ユニークな取り組みで注目を集めました。堀江貴文氏やLINEの森川亮氏などのIT系著名人や、米良美一氏（カウンタテナー）やR-指定氏（フリースタイルラッパー）といったエンターテイメント界の著名人を講師として招聘し、生徒たちの興味を喚起。さらに、インターネット双方向ライブ配信システムを活用した「リモート授業」を提唱し、府立学校初の「ICTを活用した先進的な学習プラン支援校」となりました。

新しい教育の形「探究（笑育）」

和栗氏は、松竹芸能と協働で、新教育課程「探究（笑育）」を開発・実践しました。「探究（笑育）」は、漫才づくりを通して、創造力、論理的思考力、情報編集力、コミュニケーション能力、表現力を養うアクティブ・ラーニング型の授業です。自身も現役校長としてM-1グランプリに出場するなど、話題を集めました。また、「探Ｑ（変な授業）」など、教育界に新しい風を吹き込む取り組みも展開しました。

宿坊研究の第一人者へ

2017年、大阪府公立学校長を退任後、和栗氏は一般社団法人全国寺社観光協会の企画室長に就任。情報誌『寺社Now』編集長として、寺社観光の魅力を発信しています。また、観光庁「城泊・寺泊による歴史的資源の活用事業」の寺泊担当派遣専門家として、全国各地の寺泊の視察や支援を行っています。大阪府立大学大学院では、修士号、博士号を取得し、宿坊に関する研究を深め、現代における宿坊の役割や地域社会への貢献について考察を重ねています。主な研究テーマは、「宿坊」「銭湯」「観光まちづくり」「スピリチュアル・ツーリズム」「フードツーリズム」「ルーラル・ツーリズム」などです。

学術的活動と社会への貢献

和栗氏は、学会発表や論文執筆も精力的に行っています。博士論文では「現代日本における宿坊の変容と地域社会で果たす役割に関する研究」を発表。また、「宿坊における所有・経営・運営の機能分化に関する一考察」や「寺院宿坊を起点としたルーラル・ツーリズムに関する考察」など、宿坊に関する数多くの研究成果を発表し、宿坊研究の第一人者としての地位を確立しています。さらに、宿坊を核とした地域活性化や観光振興に関する講演も数多く行い、その知見を社会に還元しています。

その他の活動

和栗氏は、番組制作、語源研究、教育、食文化、宿坊研究など、多岐にわたる分野で活躍しており、著書も多数出版しています。自身の経験に基づいた教育論や、言葉の面白さを伝えるエッセイ、食文化に関する書籍など、多岐にわたるジャンルの著作を出版し、多くの読者に支持されています。

和栗隆史氏は、その多才な能力とユニークな視点で、メディア、教育、観光など様々な分野で活躍を続けています。彼の活動は、常に新しい価値を生み出し、社会に貢献しています。

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