わしズム

『わしズム』の概要と経緯

『わしズム』は、日本の季刊誌として2002年4月に幻冬舎からスタートしました。編集長には漫画家の小林よしのりが就任し、彼の考える「信頼崩壊の時代」を背景に、信頼の再構築を目指す内容が展開されました。この雑誌の理念は、各種の価値観を集めて真実を探ることにあり、小林の好む表現者や著作物を広く取り入れることに重点が置かれています。

創刊から2005年7月までに15号が発行され、その後2005年10月に発行元が小学館に変わりました。しかし、新たな発行元でも2009年2月に終刊となり、その後2011年には『前夜』という新しい雑誌が一号のみ発行されました。この後、2012年3月には幻冬舎から再度『わしズム』が復刊されましたが、2012年7月の第31号をもって再び終刊となります。

雑誌名の由来と制作意図

『わしズム』という雑誌名は、編集長小林よしのりの一人称「わし」と「ファシズム」を掛け合わせたもので、ファシズムの本来の意味である「束ねる」ことに着想を得ています。つまり、多様な表現を集め、それを一つにまとめることが理念となっています。

小林は、既存のメディアに対する批判を示し、両者が強く対立する現在のメディアにおいて、自身の意見や情報を発信する独自の場を設けたいと考えていました。彼は、左翼と親米保守という二極の視点に捕らわれない新たな情報源として『わしズム』を位置づけ、様々な立場の執筆者を呼び寄せて独自の記事を作成していくことを目指しました。

実際の編集作業には、小林と共に取締役で副編集長の志儀保博が多くの関わりを持ち、様々な視点を取り入れました。誌面には小林自身の漫画や論考、また他の漫画家や評論家、さらには政治家やミュージシャンなど多彩な執筆者たちが参加しています。

発行内容と特徴

『わしズム』の内容は多岐にわたり、小林よしのりの漫画や対談が主力をなしましたが、硬派な評論やユーモアを交えた軽い話題も含まれていました。様々な分野の著名人や専門家が寄稿し、特に左翼やリベラル派との対談にも積極的で、時にはかつての敵との対話も行われました。

多くの参加メンバーの中から、評論家や学者、漫画家からは実際の名のある人物たちが寄稿し、時には刺激的な議論を交わすことによって読者を楽しませる要素となりました。たとえば、宮崎哲弥や香山リカ、西尾幹二といった著名人との対談や寄稿は、その独特の視点で読者を驚かせたこともあります。

まとめ

『わしズム』は、ただの雑誌以上に、さまざまな意見や知見を集めたメディアの一つとして独自性を主張し続けました。多様な価値観を持つ執筆者による多彩な内容は、確かに読者に刺激を与えるものとなりました。残念ながら数度の復活を経て最終的には終刊を迎えましたが、その試み自体はメディアの可能性を広げるものであったといえるでしょう。

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