わたしの沖田くん

わたしの沖田くん

『わたしの沖田くん』は、野部利雄による漫画作品であり、作者初の連載作品です。舞台は原町田大学。主人公の沖田総一が住むアパートの隣室に、ある日一人の女性が引っ越してくることから物語は始まります。

あらすじ

沖田総一は、勉強は苦手でだらしなく、女性にデレデレするものの全くモテない、典型的な冴えない大学生。一方、隣に引っ越してきた沢村琴は、親が決めた短大を中退し、4年制大学に入学してきた努力家です。

物語は、昭和の懐かしい雰囲気の中で、不器用ながらもお互いを意識し合う二人の、もどかしい関係を描いていきます。周囲の応援もあり、ゆっくりと距離を縮めていく二人の姿は、多くの読者の共感を呼びました。1980年代前半に流行した、一線を越えられず、素直になれない男女が、最終的にはハッピーエンドを迎えるという、純情なラブコメ作品の典型と言えるでしょう。

『週刊ヤングジャンプ』（集英社）にて、1980年2月7日発売の17号から1984年4月19日号まで連載されました。

作品の特徴

連載当初は、総一と琴を中心に、大学生活における日常的な出来事と、その中で少しずつ距離を縮めていく二人の関係を描いたドタバタコメディでした。しかし、連載が進むにつれて、非日常的で非現実的なキャラクターやシチュエーションが次々と登場し、ストーリーは荒唐無稽な方向へと変化していきます。

連載後期には、SF的な要素を取り入れたり、異空間的な明治時代を舞台にした番外編が掲載されたり、原町田大学の体育会運動部の個性的な部員たちが登場するエピソードが続くなど、作品の性質は大きく変化しました。

登場人物のキャラクターも、連載中に大きく変化しています。例えば、主人公の総一は、当初はむさ苦しい男子学生でしたが、連載後期には、三枚目ながらも爽やかな好青年へと変貌を遂げました。連載終了時に描かれた総一のキャラクターは、現在の野部利雄が描くキャラクター像とほぼ変わりません。

主な登場人物

沖田総一: 本作の主人公。原町田大学経済学部の学生。作者である野部利雄自身のプロフィールが反映されたキャラクター。
沢村琴: 短大を中退し、原町田大学文学部に入学してきた女子学生。総一とは幼馴染。
佐野和夫: 総一の親友。イケメン。
有藤さとみ: 佐野の彼女。双子の姉妹。
坂本竜司・さな子: 総一と琴の幼馴染夫婦。
真美: 琴の従姉妹。
森田めぐみ: 総一の従妹。総一を理想の兄と慕っている。
伊吹: 総一の先輩。留年を繰り返している。
後藤: 総一の後輩。その他大勢。
太田: 総一の後輩。その他大勢。
野々宮望: 病弱な女性。総一が気にかけている。
山本綾子: 女流作家。総一に厳しい。
瀬里野似奈: 物語終盤に登場する美少女。総一と急接近する。
桂木三郎: 伊吹の親友。空手家。似奈と結婚する。
木戸高史: 琴が見合いをする相手。
沖田敬子: 未来の総一と琴の娘。
* 沖田総子: 総一の又従兄弟。外見が総一にそっくり。

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