わたらせ渓谷鐵道WKT-510形気動車

わたらせ渓谷鐵道 WKT-510形気動車

わたらせ渓谷鐵道のWKT-510形気動車は、2013年および2016年にそれぞれ1両ずつ製造された、地域交通用の気動車です。この車両は、わたらせ渓谷鐵道開業時から運用されていた古いわ89-101の代替として設計されました。これにより、老朽化した車両に代わって新しい快適な輸送サービスが実現しました。

概要

わたらせ渓谷鐵道は1989年に開業し、JR足尾線からの転換により始まりました。この時に投入されたわ89-101の経年劣化に伴う代替車両として、WKT-510形は新潟トランシス製のセミクロスシート型気動車として登場しました。この車両は、両運転台を備え、トイレを持たない形状で設計されています。また、WKT-500形と非常に似た車体を持ちながらも、車内はロングシートからセミクロスシートに変更されています。WKT-511は、外部の塗装がWKT-550形と調和するように改良されています。

車体の設計

車両の外観は、地域交通用のNDCをベースにしたデザインです。乗務員室の配置は左斜め後方に設置され、運転室には貫通扉が設けられています。乗客用の扉は運転席のすぐ後ろおよび対角方向の車端に設置され、運転士専用の扉も配置されています。窓はスモークガラスを使用し、フリーストップ式のカーテンが取り付けられています。塗装には、連結運転されるWKT-550形と配色を調和させるため、紅銅色を基本に赤とオレンジのグラデーションが施されています。

内装と設備

車内はセミクロスシート配置が採用されており、中央部には4人掛けボックスシートが8組設けられています。バリアフリー設計も取り入れられ、車椅子スペースが設置されているほか、間藤寄運転室の右側にはさらなる配慮が見られます。ワンマン運転に対応した機器も装備されています。

駆動システム

WKT-510形気動車には、新潟原動機製のDMF13HZディーゼルエンジンが1基搭載され、243 kWの出力を発揮します。動力は液体変速機を利用して台車に伝達され、前後の台車はボルスタレス空気ばね式です。さらには、落ち葉による空転に対応するための砂まき装置が取り付けられています。

空調と快適性

快適性を考慮し、暖房装置にはエンジンの排熱を活用した温風式を採用、冷房にはデンソー製の機関直結式冷房装置が2基設置されています。これにより、オールシーズン快適な環境での旅が実現されています。

運用状況

WKT-511は、春から秋にかけてトロッコ列車「トロッコわっしー号」として運用されています。これに加え、WKT-550形との連結運転や、状況に応じてWKT-510形単独での運用にも対応しています。2014年には特別列車としてWKT-551、WKT-511、WKT-501の3両編成で運行されたこともあります。これらの特徴から、WKT-510形は地域の移動手段として重要な役割を果たしています。

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