アイオナ修道院

アイオナ修道院は、スコットランド西方のインナー・ヘブリディーズ諸島に浮かぶアイオナ島に存在した、中世ケルト教会における重要な修道院です。特に中世前期においては、キリスト教布教の中心地としての役割を果たしました。

創建と聖コルンバ

修道院は、アイルランドの守護聖人の一人である聖コルンバによって563年に創建されました。コルンバはアイルランドから亡命し、この地に修道院を設立。彼自身とその弟子たちは、アイオナ島を拠点としてスコットランドや西ヨーロッパへのキリスト教伝道に尽力しました。その結果、アイオナ修道院は中世ケルト教会において、最も格式の高い修道院の一つとして知られるようになりました。また、キリスト教に帰依した初期のスコットランド諸王の埋葬地としても重要な場所でした。

ケルズの書との関わり

アイオナ修道院は、芸術的な価値も有しています。三大ケルト装飾写本の一つとして名高い『ケルズの書』は、このアイオナ修道院で製作されたと伝えられています。その後、『ケルズの書』はアイルランドのケルズへと移されましたが、その起源はアイオナ修道院にあります。『ケルズの書』は「世界で最も美しい書」と評されており、現在はダブリン大学トリニティー・カレッジ博物館に所蔵され、一般公開されています。

ヴァイキングの襲撃と再建

創建当初、聖コルンバ時代の修道院は木造建築でしたが、ヴァイキングによる度重なる襲撃を受け、次第に衰退していきました。その後、1200年頃にベネディクト会修道院として再建されました。しかし、近代に入ると廃墟と化していましたが、有志による修復活動が行われ、現在に至っています。

現代のアイオナ島

アイオナ島は、手つかずの自然が残る美しい島として知られています。近年では、現代ケルト教会発祥の地としても注目を集めています。歴史的な重要性に加えて、その美しい景観から、多くの人々が訪れる場所となっています。

外部リンク
アイオナ修道院（英語）
Book of Kells Images

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