アイスと雨音

アイスと雨音：夢と現実の狭間で揺れる青春の物語

2018年3月3日、日本の映画シーンに新たな感動をもたらす作品『アイスと雨音』が公開されました。監督は、数々の話題作を手掛ける松居大悟氏。本作は、74分間のワンカットで構成された、青春群像劇です。

物語の舞台は、演劇の上演を目前に控えたある町。オーディションで選ばれた6人の少年少女たちは、熱意を持って練習に励んでいました。しかし、直前で演劇の上演は中止となってしまいます。

この突然の事態に、少年少女たちは戸惑いを隠せません。夢破れた現実を受け入れることができず、彼らはそれでも練習を続け、舞台に立つことを諦めません。中止の決定を告げられた日を含め、約1ヶ月間の彼らの葛藤と、諦めきれない思いが、ワンカットの映像に凝縮されています。

主人公の想（こころ）を演じるのは森田想、その仲間たちを演じるのは、田中怜子、田中偉登、青木柚、紅甘、戸塚丈太郎など、個性豊かな若手俳優たちです。彼らは、約100時間に及ぶオーディションで400人の中から選ばれました。それぞれのキャラクターは、演劇中止という現実を異なる視点で捉え、それぞれの葛藤を抱えています。想は目の前の状況に逆らい、怜子は理解できず、偉登は安心し、柚は悲しみ、紅甘は空っぽになり、丈太郎は楽しんでいる。彼らの複雑な感情の揺らぎが、繊細かつリアルに表現されています。

演出家役を演じるのは、監督である松居大悟氏自身。そして、MOROHAが音楽を担当し、主題歌「遠郷タワー」を含む数々の楽曲が、物語に深みと情感を与えています。

『アイスと雨音』は、単なる青春映画ではありません。監督自身の経験に基づいた、演劇中止という現実と、それを乗り越えようとする少年少女たちの虚構の狭間を描いた、深いメッセージが込められています。観客は、彼らの葛藤に共感し、希望と絶望の狭間で揺れる青春の脆さと強さを目の当たりにするでしょう。

74分間のワンカットという大胆な演出は、観客を物語の中に深く引き込みます。息つく暇もない展開と、俳優たちの熱演、そしてMOROHAの音楽が一体となり、忘れられない感動体験を提供してくれるでしょう。

スタッフについても触れておきましょう。製作には、瀬井哲也、吉崎圭一、東城祐司といったベテランスタッフが名を連ね、プロデューサーは行実良、阿部広太郎、直井卓俊、遠田孝一、林武志らが務めました。撮影は塩谷大樹、照明は西尾慶太、録音・MIXは戸村貴臣、美術は片平圭衣子、衣装はKEISUKE YOSHIDA、ヘアメイクは吉村英里といった、実力派スタッフ陣が作品を支えています。制作プロダクションはヒューマックスシネマ、配給・宣伝はSPOTTED PRODUCTIONSが担当しました。

参考戯曲として、サイモン・スティーヴンスの「MORNING」が挙げられています。この戯曲が、本作の世界観やテーマに影響を与えていることは想像に難くありません。

『アイスと雨音』は、青春のエネルギーと、現実の残酷さ、そして希望の光を描き出した、忘れがたい映画体験となるでしょう。ぜひ、劇場でその感動を味わってみてください。

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