アイスクリーム・フォー・ブレックファスト・デー

アイスクリーム・フォー・ブレックファスト・デー（Ice Cream for Breakfast Day、略称ICFBD）は、毎年2月の第一土曜日に、その名の通り朝食としてアイスクリームを食べるという、世界中で楽しまれている非公式の記念日です。

このユニークな習慣は、今から半世紀以上前の1966年、アメリカ合衆国ニューヨーク州ロチェスターで誕生しました。6人のお子さんを持つ母親だったフローレンス・ラパポートさんが発案者とされています。当時のロチェスターは記録的な大吹雪に見舞われ、ラパポートさん一家は数日間、自宅に閉じ込められることになりました。外出もままならず、退屈を持て余し、元気をなくしている幼い二人の息子、ルースさんとジョーさんを見かねたフローレンスさんは、彼らを励ますためにこう宣言したのです。「今日は朝食にアイスクリームを食べましょう！」約40年後に当時の状況を振り返ったフローレンスさんは、「それはとても寒く雪深い日で、子どもたちは何をするにも寒すぎると不平を言っていました。それで私は『朝食にアイスクリームを食べましょう』と言ったんです」と語っています。この意外で楽しい提案に、ルースさんとジョーさんは大喜びしました。翌年から、この「とても大切な日」が近づくと、二人は必ず母親に思い出させるようになり、ICFBDはラパポート家の特別な恒例行事となりました。成長したラパポート家の兄弟たちは、大学などで友人たちとパーティーを開き、この家庭内のユニークな習慣を学友たちに教えるようになりました。こうして、少しずつではありますが、ICFBDの慣習はラパポート家の外にも伝わっていったのです。

家庭内の習慣として始まったICFBDは、フローレンスさんの孫の世代が世界各地に移り住んだことで、文字通り世界へと広がっていきました。現在では、ネパール、ナミビア、ドイツ、ニュージーランド、チリ、ホンジュラスなど、様々な国でICFBDを祝うパーティーが開催された記録が残っています。これらの催しは、家族や親しい友人だけの小さな集まりから、より多くの人が集まる大規模なものまで多岐にわたります。アジアでもこの習慣は受け入れられ、特に中国では2003年にファッション雑誌『コスモポリタン』の中国語版や杭州の地元雑誌で取り上げられたことをきっかけに、広く知られるようになりました。また、イスラエルでは、発案者の息子の一人であるジョー・ラパポートさんがハイファに移住し、積極的にICFBDを広めました。イスラエルで初めてこの習慣がメディアで報じられたのはハアレツ誌で、2013年にヘブライ語版、翌2014年には英語版の記事が掲載されました。エルサレム・ポスト紙によれば、2020年にはイスラエル国内で約10万人もの人々がICFBDを祝ったと推定されており、その広まりの大きさがうかがえます。

アイスクリーム・フォー・ブレックファスト・デーを祝うにあたっては、特別なルールがいくつか設けられています。公式ウェブサイトで提示されているのは、以下のシンプルな3か条です。

1. アイスクリームを食べること。
2. 2月の第一土曜日に祝うこと。
3. 朝食として食べること。

これらのルールを守って、世界中の人々がこの風変わりで楽しい一日を楽しんでいます。

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