アイズ (ビリー・アイドルの曲)

ビリー・アイドルの名曲「アイズ」

「アイズ」(Eyes Without a Face) は、イングランド出身のロック・ミュージシャン、ビリー・アイドルが1983年に発表したアルバム『反逆のアイドル (Rebel Yell)』の中に収められた楽曲です。この曲はアルバムからの2枚目のシングルとして1984年にリリースされ、ビリー・アイドルにとって初めて全米トップ10に入ったヒット作でもあります。

この曲は他のシングルと比較しても特にソフトで、バラードのエッセンスを持っています。歌詞には、深い感情が込められており、聴く者を引き込む魅力があります。Billboard Hot 100では最高4位を記録し、多くのリスナーに親しまれました。曲の特徴として、女性のバックコーラスが挙げられます。このコーラスには、ペリ・リスターが参加しており、フランス語で「Les yeux sans visage」（顔のない眼という意）を歌い上げます。

作品名の由来について触れると、これは1960年にジョルジュ・フランジュが監督した映画『顔のない眼 (Les Yeux sans visage)』に由来しています。この映画のタイトルを引用した点も、曲全体の雰囲気を形成する要素として重要です。

トラックリストとミュージックビデオ

「アイズ」のシングルには、様々なバージョンが存在します。たとえば、UK 7インチシングルには「Eyes Without a Face」とそのB面「The Dead Next Door」が収録されています。また、UK 12インチシングルには更に「Dancing With Myself」や「Rebel Yell」も含まれています。

この曲のミュージックビデオは、デヴィッド・マレットが監督しました。ビデオは、地獄のような地下世界を舞台にしており、アイドルの顔が大々的に映し出される冒頭部分が特徴的です。歌詞に合わせてとのことに、暗い雰囲気の中で炎に照らされたアイドルの表情がじっくりと映し出されます。

ビデオの途中では、床に仰向けになったアイドルが描かれ、白い霧の中で暴れ狂う姿が視覚的に伝わります。ブリッジの部分では、スティーヴ・スティーヴンスのギターソロに切り替わり、アイドルが炎に囲まれた舞台で踊り、その周りには頭巾を被った侍者が配置されており、視覚的なインパクトを与えます。この対比が、曲の米デビューを成功させる一因となっています。

ビデオは1984年6月にリリースされ、その後MTV Video Music Awardsで最優秀編集賞と最優秀撮影賞を受賞しました。撮影には3日間を要し、霧発生装置や特殊な照明、炎を駆使したセットが用意されたそうです。アイドルは撮影後、アリゾナ州に飛行機で向かう際に、コンタクトレンズが眼球に引っ付くトラブルに見舞われました。この結果、彼は医院で治療を受け、その後3日間包帯を巻いた状態で過ごすことになったというエピソードもあります。

制作とアーティスト

「アイズ」はビリー・アイドルとスティーヴ・スティーヴンスが共作し、キース・フォージーが音楽プロデューサーとして参加しています。クレジットには、アイドルのボーカルに加え、スティーヴ・スティーヴンスがギターを担当し、サル・クエバスがベース、トミー・プライスがドラムス、ジュディ・ドジアーがキーボードを担当しています。バックボーカルにはペリ・リスターが参加しており、デイヴ・ウィットマンがサウンドエンジニアとして貢献しました。

また、「アイズ」はトレント・レズナーのバンド、ジ・アージによってカバーされ、ポール・アンカも自身のアルバム『Rock Swings』にこの曲を収録しました。音楽史においても特別な位置を占めるこの楽曲は、今でも多くのファンに支持されています。

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