アイゾメヤドクガエル

アイゾメヤドクガエル (Dendrobates tinctorius) について

アイゾメヤドクガエルは、ヤドクガエル科に属するカエルで、その美しい体色と毒性で知られています。ヤドクガエル属の中でも比較的大型で、最大体長は5cmに達します。飼育下では6cmを超えることもあります。

分布

アイゾメヤドクガエルは、南米北部の熱帯地域に分布しています。具体的には、ガイアナ、スリナム、ブラジル北部、そしてフランス領ギアナで見られます。

形態

このカエルの特徴は、その鮮やかな体色です。基本的には、黄色、黒、そして四肢に黒い斑点が入った藍色の組み合わせが見られます。しかし、地域によって体色には多様なバリエーションが存在します。種小名「tinctorius」は「染色用の」という意味で、原住民がオウムの羽を染めるのにこのカエルの毒を使ったという言い伝えに由来します。英名でも「dyeing」という言葉が使われています。

生態

アイゾメヤドクガエルは、熱帯雨林の林床に生息しています。主な食性は動物食で、特にアリを好んで食べます。繁殖は卵生で、落ち葉の下などに一度に8個から10個の卵を産みます。孵化した幼生は、親ガエルの背中に乗せられて水場まで運ばれます。

人間との関係

アイゾメヤドクガエルは、ペットとしても人気があります。しかし、生息地の開発やペット用の乱獲により、野生の個体数は減少しています。日本にも輸入されており、テラリウムで飼育されます。飼育環境としては、湿度を保てる腐葉土やヤシガラ土などの床材を使用し、地表を苔で覆うのが一般的です。臆病な性格のため、隠れ家となる流木や観葉植物を設置すると良いでしょう。観葉植物は、湿度の維持にも役立ちます。

餌としては、一般的にショウジョウバエが用いられますが、大型種であるため、コオロギの幼虫も与えることができます。長期飼育された個体や飼育下繁殖個体は、毒を持たないとされていますが、素手で触れることは避けるべきです。カエルにとっても人間の体温は高すぎるため、直接触れるのは望ましくありません。万が一、素手で触れてしまった場合は、すぐに手を洗うようにしてください。

脚注

このカエルに関する詳しい情報は、以下の文献を参照してください。

千石正一監修 長坂拓也編 『爬虫類・両生類800種図鑑』、ピーシーズ、2002年、264-265頁。
海老沼剛 『爬虫・両生類ビジュアルガイド カエル2 南北アメリカ大陸と周辺の島々のカエル』、誠文堂新光社、2006年、76-77頁。

関連項目

ヤドクガエル属

外部リンク

CITES homepage
* ワシントン条約掲載種、タクソンリスト

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