アイテム・ナンバー

アイテム・ナンバー（Item Number）とは

インド映画におけるアイテム・ナンバーは、物語の合間に挿入されるミュージック・シークエンスの一つで、キャッチーで陽気な歌と官能的なダンスが特徴です。ヒンディー語映画をはじめとするインド各地域の映画産業で広く見られ、物語と直接関連しない形で、映画のプロモーションや観客サービスといった目的を果たします。特に、商業的成功を収めるための重要な手段として位置付けられています。

概要

アイテム・ナンバーは、映画のストーリーラインとは無関係な音楽シークエンスで、時にはヒット曲のストックから選ばれ、繰り返し再生されることで観客を惹きつけます。このシークエンスには、一般的に「アイテム・ガール」や「アイテム・ボーイ」とされるダンサーが出演し、特定の俳優がブレークスルーを果たす場ともなっています。特に女性のアイテム・ガールは、映画内で性的な魅力を発揮しやすい立場であることが多いです。興味深いことに、ヒンディー語映画における「アイテム」という言葉は、女性の性的対象化を意味するスラングとしても使われています。

歴史

1930年代から1970年代

アイテム・ナンバーは1930年代にボリウッドで初めての登場を果たし、当時はアズーリーがその中心的存在として名を馳せました。1940年代になると、ククー・モレイが人気を博し、多くの映画でアイテム・ナンバーを務め、多大な影響を与えました。その後、ヴィジャヤンティマーラーによるアイテム・ナンバーは古典的な要素を取り入れ、1950年代においてはヘレンが「魔性の女」として最も知られる存在となりました。この時期のダンスシーンは、性や官能性が強調されたものであり、観客に強い印象を与えました。

1980年代から1990年代

1980年代には、ヒロインとアイテム・ナンバーの境界が曖昧になり、主演女優たちが大胆なナンバーに挑戦するようになりました。1990年代には、テレビ番組ブームに伴い、アイテム・ナンバーが映画の集客力を高める手段として認識され、作品のテーマとは無関係な派手な演出がなされました。特にマドゥリ・ディークシットと振付師サロージ・カーンのコンビは多くのヒット作を生み出しました。

2000年代以降

2000年代に入ると、アイテム・ナンバーが映画業界において確固たる地位を築き、特に新人女優がこのジャンルで成功することを目指すようになりました。男優にも「アイテム・ボーイ」という形で高い注目を浴びるようになり、全体としてアイテム・ナンバーはストーリーの重要とは言えないながらも、商業的に大きな役割を果たしています。カトリーナ・カイフやサニー・レオーネなどの女優たちが登場し、多くのヒット曲が生まれています。

アイテム・ナンバーへの批判

一方で、アイテム・ナンバーは女性の性的対象化や宗教的倫理観の観点から批判されることがあります。特定の曲が過度に性的な表現を含むとして、議論や抗議が起こる場合もあります。政府はアイテム・ナンバーをアダルト・コンテンツと見なすことがあり、放送規制が進んでいる場面も見受けられます。

結論

アイテム・ナンバーはインド映画の重要な要素として根付いており、商業的成功を左右する要因ともなっています。その魅力は、視聴者の心を掴むダンスや音楽にあり、映画文化の一部として今後も重要な役割を果たし続けるでしょう。

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