アイヌア

アイヌア（単数形：アイヌ）は、J・R・R・トールキンのファンタジー小説『指輪物語』や『シルマリルの物語』に登場する、神聖な種族です。クウェンヤ語で「聖なる者たち」を意味し、その言葉はヴァラール語のアヤヌーズに由来します。彼らは、創造神エル・イルーヴァタールによって最初に創造された存在であり、宇宙（エア）を含むすべてのものが創造される以前から、イルーヴァタールと共にありました。

アイヌアは、イルーヴァタールの思念から生まれた存在ですが、その心のどの部分から生まれたかによって、資質や理解の範囲が異なります。例えば、マンウェとメルコールは兄弟として創造されました。また、全アイヌアの中で最大の力を持つメルコールは、他のアイヌアの資質も併せ持っていました。

創造の際、アイヌアたちが奏でた音楽が「アイヌリンダレ」、すなわち創世の音楽となりました。

アイヌアの区分

アイヌアは元々エアの外にいましたが、イルーヴァタールによってアルダ（世界）に降りることを許されました。その際、エアに降りたアイヌアのうち、特に力のある15名がヴァラールと呼ばれ、残りがマイアールと呼ばれています。ヴァラールは、世界の形成や運営において重要な役割を担っています。

アイヌアの特徴

アイヌアは、トールキンの世界における天使的な存在です。彼らはイルーヴァタールによって「不滅の炎」を与えられており、不滅の存在です。イルーヴァタールの子ら（人間やエルフなど）とは異なり、必ずしも肉体を必要としません。マイアールの多くは、霊的な存在のまま活動しています。

アイヌアには性別があり、肉体を持つ場合は男性または女性の姿を取ります。この性別は、彼らが初めから持っていたものであり、後から選んで作り出したものではありません。

アイヌアは不滅ですが、完全に殺すことは不可能でも、霊的な存在としての力が弱まることがあります。その結果、肉体を持ち活動することができなくなることもあります。

過ちを犯すアイヌア

アイヌアは、天使的な存在でありながら、過ちや失敗を犯すことがあります。特に肉体を持っている場合は、その傾向が顕著です。例えば、イスタリ（魔法使い）の中では、ガンダルフのみが課せられた使命を成功させましたが、サルマンは失敗し、堕落しました。最も重大な過ちは、モルゴス（後のモルゴス）と、その従者サウロンによる、完全な邪悪と反乱でした。彼らは、トールキンの物語における悪の根源として描かれています。

アイヌアは、神聖な存在でありながら、その行動や選択によって善にも悪にもなりうる、複雑な存在と言えるでしょう。

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