アイブラック

アイブラックとは？

アイブラックとは、主にスポーツ選手が太陽光やスタジアムの照明による眩しさを軽減するために、目の下に塗る、または貼り付ける黒色のグリースやステッカーのことです。特に野球やアメリカンフットボールの選手に多く使用されています。これは、眩しさによって視界のコントラストが低下し、ボールが見えにくくなるのを防ぐためです。

日本では「アイパッチ」と呼ばれることがありますが、本来アイパッチは眼帯を意味します。

歴史

アイブラックの使用は、1942年にアメリカンフットボール選手のアンディー・ファーカスによって始まったとされています。当時、製品化されたアイブラックは存在せず、選手たちはミツロウ、パラフィン、すすなどを混ぜて自作していました。ファーカス自身は、焼いたコルク樫の灰を使用していたと語っています。

現在では、久保田運動具店が「アイパルパッチ」という商品名で防眩ステッカーを販売しています。アメリカでは、ウイルソン、ルイスビルスラッガー、フランクリンスポーツなどのメーカーが、汗に強く石鹸で洗い流せるグリースタイプのアイブラックを販売しており、日本でも輸入されています。

また、アイブラック社は、ロゴやデザインを印刷した防眩ステッカーで特許を取得しています。ステッカーには黒以外の色もありますが、同社によれば黒が最も効果が高いとされています。

2010年には、日本で日焼け止め効果のある黒色のスティックが発売されました。これは、サーフィン選手からのリクエストで、逆光での眩しさを解消するために開発されたものです。

カスタムメイドのアイブラックは、レジー・ブッシュが使用したことで流行しました。彼が使用したアイブラックには、故郷を称えるメッセージが込められていました。

顔全体にアイブラックを塗る人もいますが、メジャーリーグでは罰金が科せられます。また、許可なくロゴやメッセージを入れたアイブラックの使用も禁止されています。NFLでも同様の規則がありますが、MLBほど厳格ではありません。

科学的効用

アイブラックの防眩効果は、21世紀に入って科学的に検証されました。

2003年の研究では、アイブラック・グリースがコントラスト感度を改善する効果があることが示されました。この研究では、グリースタイプがステッカータイプやワセリンよりも効果が高いという結果が出ています。

2005年の実験では、プラシーボ効果を排除するために、アイブラック・グリースと、見た目や感触が同じだが効果のないおもちゃの口紅を使用しました。その結果、アイブラック・グリースにはグレアを防ぐ効果があることが確認されました。また、青い目の人や男性は、効果が低いことも判明しましたが、更なる実験が必要です。

アイブラックは、単なるファッションではなく、実際に眩しさを軽減し、視覚能力を向上させる効果が期待できるアイテムです。アスリートだけでなく、日差しの強い環境で活動する人々にとっても有効な手段となるかもしれません。

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