アイム・セクシー

ロッド・スチュワート「アイム・セクシー」：時代を彩った問題作

「アイム・セクシー」（原題：Da Ya Think I'm Sexy?）は、1978年にロッド・スチュワートが発表し、世界的な大ヒットとなった楽曲です。作曲はスチュワート自身とカーマイン・アピスが共同で行い、プロデュースはトム・ダウドが担当しました。

大ヒットの裏側

この曲は、1979年2月10日から4週間にわたり、Billboard Hot 100のチャートで首位を獲得しました。イギリスでも、その数か月前の12月にチャートのトップに輝きましたが、クリスマスには1位の座を明け渡しています。

しかし、この曲の発表当時、音楽業界からは賛否両論の声が上がりました。特に、ロック系の雑誌からは、ディスコ調のアレンジがスチュワートのルーツであるブルースロックを裏切っているという批判が相次ぎました。これに対しスチュワートは、ポール・マッカートニーやローリング・ストーンズといった、広く尊敬されているアーティストたちも既にディスコ調の楽曲を発表していることを指摘し、反論しました。

2004年には、ローリング・ストーン誌の「ザ・500グレイテスト・ソング」において、301位にランクインしています。

盗作訴訟とユニセフへの寄付

「アイム・セクシー」を巡っては、盗作訴訟も起こされました。ブラジルのサンバ・ロックミュージシャンであるジョルジ・ベンジョール（当時はジョルジ・ベン）が、この曲が自身の楽曲「タジ・マハール」を転用しているとして訴えを起こしたのです。結果として、スチュワートは楽曲から得られる自身の印税をユニセフに寄付することで合意しました。彼は1979年の国際連合総会で行われたユニセフ・コンサートでこの曲を演奏しています。

多彩なカバーバージョン

「アイム・セクシー」は、数多くのアーティストによってカバーされています。以下はその一部です。

ジーン・サマーズ&クロスファイア：1979年にシングルとして発売
Pentti Oskari KangasとSeitsemän Seinähullua Veljestä：フィンランド語に訳したバージョンを1979年にシングルとして発表
ミリー・ジャクソン：1982年のライブアルバムに収録
ゾーズ・ダーン・アコーディオンズ：1996年のアルバムでカバー
リボルティング・コックス：1993年のアルバムに収録
Miio：2003年のアルバムに収録
ヴァニラ・ファッジ：2004年に再結成時にカバー
Girls of FHM：2004年にカバーし、全英シングルチャートで10位を獲得
パリス・ヒルトン：デビューアルバムに収録
K（韓国の歌手）：日本向けのシングルに収録
タイニー・ティム：ファルセットを多用したユニークなカバーを披露
FIANCHI：ファーストアルバムで原題のまま収録

ライブ、サンプリング、メディアでの使用

「アイム・セクシー」は、ライブでのカバーやサンプリング、メディアでの使用も数多く存在します。

トム・ジョーンズ：ロサンゼルスのコンサートでカバー
ザ・ロックス：1998年のデビューシングルでサンプリング
N-Trance：1997年にリミックスバージョンを発表。映画「ロクスベリー・ナイト・フィーバー」で使用
ショーン・キングストン：「Take You There」でコーラスのリズムを引用
Oops!フェアリーペアレンツ：キャラクターのキャッチフレーズとして使用
トゥナイト2：お色気シーンの挿入歌として使用

「アイム・セクシー」は、発表から40年以上経った現在でも、様々な形で人々に親しまれています。そのキャッチーなメロディーと、賛否両論を巻き起こした斬新なアレンジは、時代を超えて記憶されることでしょう。

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