アイルランド民族解放軍

アイルランド民族解放軍（INLA）

アイルランド民族解放軍（INLA）は、1974年にアイルランド共和軍（IRA）から分裂して設立された、アイルランド民族主義者の武装組織です。この組織は社会主義の理念を掲げ、アイルランド共和社会党（IRSP）の軍事部門としての役割を果たしました。INLAはアイルランド国民解放軍とも呼ばれています。

概要

INLAの設立には、IRAの主要なメンバーだったシェイマス・コステロが関与していました。コステロは北アイルランドにおけるイギリスの統治に強く反発し、また社会主義の思想を持っていたため、IRAとの対立が生じました。彼は北アイルランド解放を目指してINLAを設立し、その後、IRSPの創設に携わり、政治活動を行いました。しかし、1977年にはダブリンにおいて銃撃され、命を落としました。この事件はIRAによる処刑と広く見なされています。

INLAはその後も活動を続けましたが、IRA暫定派との協力はあまり見られず、むしろ欧州の極左テロ組織やファタハとの結びつきが強くなっていきました。彼らは主にこれらの組織から武器を調達し、チェコスロバキア製の拳銃や短機関銃（Vz61）、SKSカービン、AK-47など、多様な銃器と爆薬、手榴弾で武装していました。

この組織は一連のテロ攻撃を実行し、その結果、127人の命が奪われたとされています。一方で、INLA自身も敵対勢力の攻撃により、39人から44人のメンバーが死亡したと報告されています。

武装闘争の放棄

2009年10月、INLAは武装闘争を放棄することを正式に表明しました。翌年の2010年2月には武装解除が完了したとされていますが、近年でもこの組織に関連する摘発事件は散発的に発生しています。これにより一部界隈では、完全な解体には至っていないとの見解も存在します。

関連項目

INLAの歴史は、北アイルランドの紛争やアイルランド・イギリスの歴史とも深く結びついています。進行中の北アイルランドの紛争、そしてIRAやその分派であるIRA暫定派や真のIRAとの関係は、複雑な背景を持っています。これらの組織の活動は、今日の北アイルランドを含むアイルランド全体の政治的状況に影響を与え続けているのです。

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