アインス宗谷

アインス宗谷

アインス宗谷（アインスそうや）は、ハートランドフェリーが運航していたフェリーです。このフェリーは、1997年7月1日に稚内港から利尻島と礼文島を結ぶ航路に就航しました。内海造船瀬戸田工場で建造され、旧第十一宗谷丸の代船として活躍しました。

歴史

この船は、サハリンへの国際航路としても利用されることが初めから計画されていました。1998年5月1日からは稚内 - コルサコフ航路にも就航し、戦後日本の船としては初めての定期的な航路となりました。ただし、サハリン航路は冬季には流氷の影響で運航が休止され、その間は稚内 - 利尻・礼文航路で引き続き運航されていました。

晩年には、他の航路のドック期間中に代船としても運用され、さまざまな役割を果たしました。もともと第十一宗谷丸の代替船であり、旧船は予備として残っていましたが、新船がサハリン航路に就航する際は、稚内 - 利尻・礼文航路での代船としての役割を持っていました。

デザインと運営

2008年、ハートランドフェリーは社名を変更し、フェリーの塗装デザインも改めました。新しいデザインは、「H」をかたどった社章を基にした濃藍色と、自然をイメージした若草色の組み合わせとなっています。この変更は船の外観を一新し、ブランドのイメージ向上を目指したものでした。

サハリン航路は開設以来、赤字が続いており、運営には稚内市の補助金と助成が必要でした。しかし、サハリン2の竣工などにより貨物の取扱量が減少し、ハートランドフェリーは2011年に航路撤退の可能性について言及しました。運航の継続が求められた結果、補助金の強化が行われ、以後は毎年6月から9月にかけて約30往復が運航されるようになりました。

航路の終了とその後

2014年9月には、ハートランドフェリーが再度撤退を表明し、2015年の助成が終了すると共に運航も終了することとなりました。最終的に、2015年9月18日に航路は閉じられました。稚内市は再開に向け、第三セクターの運航会社を設立し、この船を約4億1000万円で購入する計画を立てましたが、船級の取得が難しいことから断念しました。

その後、第三セクターはロシアのサハリン船舶会社（SASCO）と契約し、2016年の夏に航路を再開したと報じられました。この運航は、元々の予定より少し遅れたものの、同年8月1日に実現され、9月16日まで続きました。

船の運航

アインス宗谷が行っていた航路は、稚内港からコルサコフ港間の5時間30分の航海距離159kmでした。この航路では、氷の影響を考慮し、流氷域を安全に航行するために特別な設計がなされています。実際に、バルバスバウの上にアイスナイフが組み込まれ、安定した航行を実現しています。

船内の設備

国際航路に就航していた際、船内の自動販売機ではビールを100円で販売するなど、利用者にお得なサービスが提供されていました。船室には特別室、ラウンジ席、和室、一等席や二等席などがあり、バリアフリー対応の優先席も設けられていました。船内には案内所や売店、自動販売機も完備されており、快適な移動が可能でした。

アインス宗谷は、その後2015年から2016年にかけては奥尻航路で代船を務めた後、稚内港で係留されていました。最終的にはフィリピンのCokaliong Shipping Linesに約4億1,000万円で売却され、FILIPINAS JAGNAとして新しい航海を始めることとなりました。

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