アウディ・R8 (市販車)

アウディR8: スポーツカーファミリーの象徴

アウディが製造するR8は、クーペ型のスポーツカーであり、特にそのデザインと性能で高い評価を得ています。このモデルは、ランボルギーニ・ガヤルドやウラカンといった他のスポーツカーと基盤を共有する兄弟車に該当します。

初代R8 (2006年-2016年)

初代R8は2006年に市場に登場し、アウディ・ルマン・クワトロというコンセプトカーを基にしています。このモデルは、アウディ独自のASF（アウディスペースフレーム）技術を採用し、210kgの軽さを実現しました。また、エンジンフレームにマグネシウムを用いることで、さらなる軽量化が図られています。

搭載されているエンジンは4.2L V8 DOHCで、最高出力は420psに達し、ドライサンプ潤滑を採用して低重心化を実現しました。トランスミッションは6速Rトロニックを採用し、ATモードとMTモードの選択が可能です。サスペンションはダブルウィッシュボーンが使用され、アウディのマグネティックライドオプションにより、走行条件に応じた最適なダンピングが行われます。

日本では2007年から販売が開始され、当初は左ハンドル仕様のみが提供されましたが、2009年から6速MT仕様も追加されました。また、グレードには525psの5.2L V10エンジンを搭載したモデルも登場しました。これにより、R8のバリエーションはさらに豊富になりました。

2代目R8 (2016年-2023年)

2016年にはフルモデルチェンジが行われ、2代目R8が発表されました。新型では5.2L V10エンジンが搭載され、540PSと610PSのバリエーションが提供されています。トランスミッションは7速Sトロニックに変更され、さらに高いパフォーマンスが実現されました。ボディ構造はASFを引き続き採用し、CFRPを使用することで剛性を向上させつつ軽量化を図っています。

2019年に改良版も登場し、出力が570hpに強化されました。2022年には最後のモデルとしてR8 GTの生産が終了することが発表され、2025年以降には電動モデルの後継が期待されています。

バリエーションと特別モデル

R8には様々なバリエーションがあります。市販車をベースにした「R8 LMS」は、FIA GT3クラスに参戦するレーシングカーです。さらに、「R8 e-tron クワトロ」という電気自動車モデルも存在しましたが、性能の限界から市販は見送られました。また、R8 RWSという後輪駆動モデルや、最高出力620PSのR8 GTも登場しています。

アウディR8はその高性能と独自の技術、洗練されたデザインで、多くの自動車愛好家に愛されてきました。特に2008年に公開された映画『アイアンマン』でトニー・スタークの愛車として登場したこともあり、さらにその名声は高まりました。日々約20台が手作業で生産されることで知られるR8は、アウディの技術力とクラフトマンシップを象徴するモデルと言えるでしょう。

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