アウトバーン 1 (スイス)

スイス アウトバーン1号線（A1）

スイス北東部のザンクト・マルガレーテンから南西部のジュネーブを結ぶ、アウトバーン1号線（A1）は、スイスの主要な東西軸となる高速道路です。その全長は約383kmに及び、A1a、A1H、A1Lなどの支線も存在します。かつては国道1号線（N1）として知られていましたが、1986年に現在の名称に変更されました。

歴史

1956年、スイスの交通網を充実させるため、東西を結ぶ自動車道路の建設を求める国民発案が提出されました。これが、スイスにおける高速道路建設の契機となります。

1962年5月10日、グラウホルツにN1の最初の区間が開通しました。約8kmのこの区間は、ツォリコフェンにあった基幹道路のバイパスとして、交通渋滞の緩和に貢献しました。

1964年5月1日には、ローザンヌで開催されたスイス博覧会に合わせて、ジュネーブとローザンヌ間を結ぶ60kmの区間が開通しました。1967年5月10日には、オエンジンゲンとフンツェンシュヴィル間が完成し、N1はさらに延伸。ベルンからレンツブルクを結ぶ84kmの区間は、当時スイス国内で最長の連続した高速道路となりました。同年8月16日には、最初の休憩所がケリッケンにオープンしています。

しかし、高速道路の利用に慣れていないドライバーが多かったため、開通後のペンテコステ（キリスト教圏の祝祭日）には追突事故が多発。燃料切れで停車する車も相次ぎ、警察が出動する事態となりました。

1972年12月1日には、ビューレンロスに当時世界最大規模のブリッジレストランを持つ休憩所が建設されました。全長140mの商業区画には16の店舗が並び、「Fressbalken」という愛称で親しまれました。

1985年、チューリッヒ北部にバイパス道路が完成し、市街地の人口密集地域を避け、東西を高速道路で結ぶことが可能になりました。当初の計画では、N1はチューリッヒ市街を通過する予定でしたが、住民の反対により頓挫。バイパス完成までは、ハルトブリュッケを経由していました。バイパスの建設は、チューリッヒの交通状況を大きく改善しました。

1996年には、名称が「Nationalstrasse（国道）」の「N」から「Autobahn（高速道路）」の「A」へと変更されました。これは、ヨーロッパの他の国々の例に倣ったものです。

2001年4月5日、ムルテンとイヴェルドンを結ぶ区間が開通しました。この区間は、周辺住民の強い反対により建設が遅れていましたが、1990年4月には反対運動がピークに達しました。誘導路はペイエルヌ空軍基地の格納庫につながっており、緊急時には代替滑走路として利用される想定でしたが、実際に使用されたことはありません。

2003年に3番目のベーレクトンネルが建設されたことで、この地域の交通渋滞は緩和されました。しかし、グブリストトンネルは依然として交通集中が起こりやすい状況にあります。2009年から2017年にかけては、アーラウ西インターチェンジからビルアージャンクションの間のインターチェンジが拡張され、交通状況の改善が期待されています。

拡張計画

ヘルキンゲン-ヴィッガータール区間

アーレ川にかかる橋とともに、4車線から6車線に拡張され、2015年に開通しました。この区間では、A1とA2が共通の道路を走行します。

ルターバッハ-ヘルキンゲン区間

2022年から2030年にかけて、ルターバッハとヘルキンゲンの間の区間が6車線に拡張される予定です。ジュラ山脈南麓のこの地域には東西を結ぶ高速道路がA1しかないため、交通量が非常に多くなっています。この計画は地域の交通改善に貢献すると期待されていますが、2019年8月14日には計画地域に住む農家による反対運動が発生。2019年9月現在、約200人の反対派との係争が続いています。

チューリッヒ地区

チューリッヒ地区は、A1の中でも特に交通量が多い箇所であり、いくつかの区間では交通容量を超えています。過去にはベーレクトンネルが交通過多の地域でしたが、新しいトンネルの建設によって解消されました。しかし、その後はグブリストトンネル付近が新たな交通集中地域となっています。このトンネルは、チューリッヒのバイパス路線として建設されましたが、A1とA4で共有するにもかかわらず、各方面2車線ずつの設計であったため、拡張工事が行われています。

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