アーレ川

スイスを潤す大河、アーレ川

アーレ川は、スイスを流れ、最終的にライン川に合流する重要な河川です。その全長は約295キロメートル、標高差は1,565メートルにも及び、流域面積は17,779平方キロメートルを誇ります。

アーレ川の源流と流路

アーレ川は、ベルンアルプスに位置するアーレ氷河を源流とします。グリムゼル湖から流れ出し、フィンステラーホルン山の麓を通り、数々の湖を経由してハスリタルを北東へと進みます。ハンデクの滝やグタネンを通過し、マイリンゲンで平地に出ると、ブリエンツ湖へと注ぎ込みます。ブリエンツ湖では、リュッチネ川と合流し、インターラーケンを経てトゥーン湖へと流れます。

トゥーン湖からは、カンダー川を合わせ、ベルンへと流れ込みます。ベルン市内では、旧市街を取り囲むように流れ、18もの橋をくぐり抜けます。その後、サリーヌ川（ザーネ川）と合流し、ビール湖へと注ぎます。ビール湖周辺は肥沃な平野であり、「スイスの菜園」とも呼ばれています。

ビール湖から流れ出たアーレ川は、ゾロトゥルン、アーラウを経由し、ブルーク付近でロイス川、リマト川と合流します。そして、ドイツとの国境近くのコブレンツで、ライン川に合流します。ライン川との合流地点手前にあるクリングナウ池は、ラムサール条約登録地となっており、豊かな自然が残されています。

アーレ川の名前の由来

アーレ川の名前は、16世紀ごろの亜鉛銘板にガリア語で書かれた「Nantaror」に由来するとされています。これは「Nanto（峡谷）+aror」でアーレ渓谷を意味すると考えられています。ローマ時代には「Obringa」と呼ばれていました。

流域の景勝地

マイリンゲン付近には、アーレ峡谷があります。アーレ川が石灰岩を削り、1万年の歳月をかけて作り上げたこの峡谷は、長さ約1.6キロメートル、幅は約50メートル、川幅はわずか1メートルほどであり、両側は切り立った崖となっています。

アーレ川の利用

アーレ川は、上流部で水力発電に利用されています。また、流域の農業を支える灌漑用水としても重要な役割を果たしています。

支流

アーレ川には、以下のような支流があります。

リマト川
Sihl
Linth (チューリッヒ湖に注ぐ)
ロイス川
Kleine Emme
Sarner Aa
Engelberger Aa
Schächen
Furkareuss
Suhre
Wigger
Emme
Zihlkanal
Suze
Broye
Orbe
Saane (Sarine)
Sense
Kander
Simme
Allenbach
Lütschine

アーレ川は、スイスの自然と文化を育んできた、かけがえのない存在です。

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