アウトバーン 2 (スイス)

スイスの主要高速道路 A2 について

アウトバーンA2は、スイスを南北に縦断する最も重要な幹線道路の一つであり、北ヨーロッパと南ヨーロッパを結ぶ重要な連絡路としての役割も担っています。ドイツ国境付近のバーゼルからイタリア国境付近のキャッソまで、全長295kmに及ぶ主要道路です。

概要

A2は、バーゼル近郊のヴァイル・アム・ライン/クラインヒューニンゲン出入国審査検問所から、ドイツのアウトバーン5号線の延長として始まります。スイス第3の都市であるバーゼルを経由し、ルツェルン方面へ南東に進みます。ルツェルンを通過後、ゴッタルド・マシフ（ゴッタルド山塊）に向かい、全長約17kmのゴッタルド道路トンネルを通過してティチーノ州に入ります。ティチーノ州では、州都ベッリンツォーナや最大都市ルガーノを通り過ぎ、キャッソ/コーモ出入国審査検問所を終点とし、イタリアのアウトストラーダA9へと接続します。

A2は、以下の準州・州を通過します。

バーゼル＝シュタット準州
バーゼル＝ラント準州
ゾロトゥルン州
アールガウ州
ルツェルン州
ニトヴァルデン準州
ウーリ州
ティチーノ州

また、A2はスイスの他の主要アウトバーンとも接続しており、東西を結ぶA1（ジュネーブ～ザンクト・ガレン線）などがその例として挙げられます。

歴史

背景

ゴッタルド峠を通るアルプスの山道は、古代ローマ時代から交易や軍事の目的で利用されてきました。しかし、シェレネン渓谷が難所であったため、その地理的な重要性は長らく限定的でした。

中世に入り、1230年に最初の悪魔の橋が架けられると、アルプスの山道の重要性が高まりました。1595年には2番目の橋が建設され、1831年にはゴッタルド峠に駅馬車のための舗装道路が初めて敷設されました。しかし、1882年のゴッタルド鉄道トンネルの完成により、駅馬車はその役割を終え、アルプスの山道は再び重要性を失いました。1895年に初めて自動車がゴッタルド峠を越えて以来、新しい自動車道路の建設は1953年まで行われませんでした。

ルツェルンでの建設

1955年6月11日、「ルツェルン＝南幹線道路」が開通しました。これは、現在のA2の前身であり、スイスの高速道路の先駆けとなるものです。この路線は、アイヒホーフ（現在のルツェルン＝クリエンツジャンクション）からエネットル（現在のホルフ）を結び、ルツェルン南部の郊外の街、ホルフへのバイパスとして機能しました。ただし、当時の基準では、インターチェンジは短く、路面表示もなく、硬路肩やガードレールといった安全設備もありませんでした。また、横断歩道や自転車用車線も道の両側にあり、立体交差は存在しませんでした。

1958年、全国的な高速道路網の建設を求める国民投票が可決されました。これは、経済成長によって民間のインフラ投資が活発化したことが背景にあります。1960年6月21日、国土を東西に横断する軸となる路線、N1（後のA1）が計画されました。これは、ジュネーブからローザンヌ、ベルン、チューリッヒを経由してボーデン湖までを結ぶ予定でした。しかし、バーゼルからキアッソを結ぶ南北の軸となる路線は計画されておらず、連邦議会がゴッタルドにおけるトンネル建設と高速道路網の拡張を最終的に決定したのは、1960年に設置されたワーキンググループの推薦を得た後の1965年のことでした。こうして、N2の建設計画が始動しました。ゴッタルドのトンネルは、現在「ゴッタルド道路トンネル」と呼ばれ、ゲシェネンからアイロロを貫通しています。

1960年代のN2の建設

1965年にルツェルン＝南幹線道路に直結するヘルギスヴィール-シュタンスシュタートの区間が開通し、1969年にシュタンス、1970年にブオクス、1974年にはベッケンリートまでと、徐々に延伸されました。

ティチーノ州の各区間は1960年代までに完成しました。ルガーノの北部及び南部から州都ベッリンツォーナのバイパスとして、キアッソのイタリア国境地域へと延伸されました。さらに1969年にはN3（現在のA3）の一部としてバーゼル-アウクスト区間が開通しました。

アウクストからヘルキンゲンの間にあるジュラ地域の区間は、ベルヒェントンネルを中心に構成されています。この全長約3kmのトンネルは1963年から1970年にかけて建設され、A2の当該区間とともに同年12月に開通しました。

1970年以降の完成までの道のり

1970年5月5日にゴッタルド道路トンネルの建設が公式に開始され、10年後の1980年9月5日に開通しました。1970年代には、アルトドルフからの北側のフィーダー路線も建設されました。

同時に1971年からは全長9.3kmのゼーリスベルクトンネルの建設も始まり、同じく1980年に開通しました。ゴッタルド道路トンネルと異なり、2本のトンネルが建設されたため、N2のこの区間は完全に4車線の高速道路となりました。このトンネルにより、ニトヴァルデン準州とウーリ州、ひいてはスイス高原とゴッタルド峠が結ばれることになりました。西側の出口は全長3km超のベッケンリート＝レーネン高架橋に繋がっており、建設当時はスイスで最も長い橋梁でした。しかし、この記録は4年後にイヴェルドンにできたA5の高架橋に塗り替えられました。この区間の開通によって、N2のルツェルンとゴッタルドトンネルの間の区間が完成しました。

1971年から1974年にかけて、バーゼル市内の路線が整備されました。

1980年及び1981年にヴィッガータールジャンクションからルツェルン州のエンメン＝北までが開通しました。また1980年にはドイツのA5に接続するバーゼルのヴァイル・アム・ライン国境検問所が設置されました。

1980年から1986年にかけてレヴェンティーナ地区のアイロロからベッリンツォーナ間が建設され、1983年にモンテ・チェネリを通るルートが完成するとA2の全線が開通することとなりました。特にレヴェンティーナ地区では長い間高速道路の建設が反対されていたため、多くのコストと時間を要しました。その結果、多数のトンネルや高架橋建設が余儀なくされ、特にビアシーナ高架橋は標高100mの地点に建設されたため、現在スイスで2番目に標高の高い建造物となっています。

1996年に路線ナンバリングが変更され、「N2」から「A2（Autobahn2）」に呼称が変更されました。

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