アウトボクシング

アウトボクシング

アウトボクシングとは、ボクシングにおける戦術の一つで、相手との距離を保ち、相手のパンチが届かない範囲から攻撃するスタイルを指します。対義語は、接近戦を得意とするインファイトです。

概要

アウトボクシングの基本は、ジャブを効果的に使い、相手との間合いをコントロールすることです。リーチの長い選手が有利とされ、アウトボクサーは一般的に長身であることが多いです。しかし、リーチが短くてもアウトボクシングを得意とする選手も存在します。フットワークも重要な要素であり、常に有利な位置を確保するための技術が求められます。

アウトボクシングは、有効打を多く当ててポイントを稼ぐことを重視するため、KO率は比較的低い傾向にあります。しかし、一瞬の隙を突いた強打やカウンターでダウンを奪うアウトボクサーも存在します。アウトボクシングを選択する理由は、選手の体格や性格などの適性によるものがほとんどですが、八重樫東のように、かつてはアウトボクサーだった選手がインファイターに転向する例もあります。

起源

アウトボクシングが初めて試合で使用されたのは、1892年9月7日のジョン・L・サリバン対ジェームス・J・コーベット戦であるとされています。コーベットは、フットワークを駆使してサリバンのパンチをかわし、ジャブを当てる戦法で勝利しました。しかし、当時の民衆からは「卑怯者の戦法」と酷評されました。当時のボクシングは、互いに足を止めて殴り合う「スタンド・アンド・ファイト」が主流だったためです。

代表的なアウトボクサー

モハメド・アリ
ヘビー級ボクシングに、華麗なフットワークと鋭いジャブを活用するアウトボクシングを持ち込みました。リングを縦横無尽に動き回り、相手のジャブにカウンターの右ストレートを合わせるなど、高度な技術を持っていました。「蝶のように舞い、蜂のように刺す」と評されました。

トーマス・ハーンズ
「デトロイトスタイル」と呼ばれる独特の構えから放たれる変則ブローやフリッカージャブで、一世を風靡しました。スーパーウェルター級やミドル級で数々の強豪と死闘を繰り広げ、「ヒットマン」の異名を持ちました。

ヘナロ・エルナンデス
スーパーフェザー級でありながら、身長180cm、リーチ185cmという恵まれた体格を活かしたアウトボクサーです。力強いジャブの連打で対戦相手を圧倒しました。

フェリックス・サボン
アマチュアボクシングのヘビー級で長年にわたりトップに君臨し、オリンピック3連覇、世界ボクシング選手権6連覇など、数々の記録を打ち立てた名選手です。長身と長いリーチを生かしたジャブと、一撃必殺の右ストレートが武器でした。

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