アウンミョーミン

アウンミョーミン（ビルマ語: အောင်မျိုးမင်း）は、ミャンマー出身の著名な人権活動家であり、現在、国民統一政府において人権大臣の任にあたっています。特に注目されるのは、彼がミャンマー史上初めて、自身がLGBTであることを公表した上で大臣のポストに就いた人物であるという点です。

生い立ちと学生時代

アウンミョーミンは、1988年までヤンゴン大学で英語学の研鑽を積みました。同年、民主化を求める大規模な民衆蜂起である8888民主化運動が発生すると、彼はこの運動に身を投じます。その後、国境近くの密林地帯へと赴き、学生たちによる武装抵抗組織である全ビルマ学生民主戦線に加わって活動しました。情勢が緊迫する中、彼は隣国のタイ、チエンマイへの亡命を余儀なくされます。亡命先では学術的な活動も継続し、1993年にはニューヨーク市のコロンビア大学に進学。人権提唱プログラムで学び、1995年に修士号を取得しました。

亡命中の活動と経歴

タイ亡命中の1996年、アウンミョーミンはレズビアン、ゲイの権利向上を目指す団体、レズビゲイの権利委員会（CLRB）の設立に関わりました。また、国際的な性的少数者の権利擁護組織である国際レズビアン・ゲイ協会（ILGA）のアジア地域代表としても活動しました。2000年には、アメリカ合衆国政府からの資金援助を得て、人権教育を推進するための機関、ビルマ人権教育機関（HREIB）を立ち上げました。この団体は後に「平等ミャンマー」（EQMM）と改称され、彼は事務局長として組織を率いました。2005年から2010年にかけては、ビルマ連邦国民連合政府の人権文書部門で局長を務めるなど、人権問題に関する行政的な経験も積みました。さらに、2007年に開始されたEQMMのプロジェクト「Colors Rainbow」の創設メンバーであり、ミャンマー国内のLGBT権利ネットワークの運営委員会メンバーとしても重要な役割を担いました。

ミャンマー帰国後と現職

2013年にミャンマーへ帰国して以降、彼は国内における人権活動により一層深く関与するようになります。2021年2月に発生した国軍によるクーデター後の混乱の中、同年5月3日、民主派勢力によって樹立された国民統一政府において、人権大臣に任命されました。これは、ミャンマーの歴史上、初めて性的少数者であることを公言した人物が大臣の職に就いた画期的な出来事でした。彼はこの立場から、クーデター後の深刻な人権侵害に対処し、国民の権利保護のために国際社会への働きかけを含めた活動を展開しています。

受賞歴

アウンミョーミンの長年にわたる人権およびLGBTの権利擁護への貢献は、国際的に高く評価されています。1999年には、国際ゲイおよびレズビアン人権委員会からフェリパデスーザ賞を授与されました。これを含め、人権と性的少数者の権利に関する功績に対して、合計7つの国際的な賞を受けています。また、2017年には、平和、民主主義、人権を擁護する活動を行ったミャンマー市民に贈られる、最初のロベールシューマン賞を欧州連合から受賞するという栄誉に浴しました。2016年には、国連が主催するN-PeaceAwardにもノミネートされています。

大衆文化における描写

ミャンマー帰国後のアウンミョーミンの人生と活動は、ドキュメンタリー映画「こんな愛」（This Kind of Love）に記録されています。この作品は、2015年に開催された人権と人間の尊厳の国際映画祭で最高賞を獲得するなど、国内外で評価を得ています。

アウンミョーミンの人生は、激動のミャンマー現代史の中で、民主化運動から始まり、亡命を経て、人権と性的少数者の権利擁護という一貫した活動を続ける軌跡であり、現在の国民統一政府における大臣としての役割は、その集大成と言えるでしょう。

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